2013年4月30日火曜日

「ピルを飲み始めたら、月経が止まらない」

アスリートにピル(経口避妊薬:OC)を処方する場合は、普通(アスリート以外)の患者以上に、副作用は出ないか、体調の異変はないかに気をつかうことになる。これはアスリートが、自分の体の変化やコンディションにより敏感であるためだ。特に試合期ではそうである。
今回、初めてヤーズ®の内服を開始したアスリートから、以下のような質問がきた。

生理が始まった翌日からヤーズを服用し出しました。ところが、いつもなら5日ほどで終わる生理がまだ続いており、量は多くはないのですが、終わるかな?と思ったら、終わらず、1週間になります。これは薬を飲み始めたのと関係があるのでしょうか? 試合が近いので悩んでいます。

確かに、OCの飲み始めの際の月経が「なかなか止まらずだらだら長く続く」という症状は(アスリートに限らず)けっこうな頻度である。
OCの欠点というか特性の一つとして、飲み始めの1〜3周期は内服中の少量不正出血がおこりやすい、というものがある。ヤーズ®は特に含有エチニルエストラジオール量が少ないためか、この不正出血の頻度が高い印象がある。
今回相談された、飲み始めの際の過長月経も「内服開始当初におこりやすい出血」の1種と解釈できる。規則的な内服を続けているうちに数日で止血する場合も多いが、1シート目の内服中は断続的に続いてしまう可能性もある。
それでは困るからと言って、慌ててOCの服用をやめても今の出血がすぱっと止まるというものでもなく、またかえって一時的に出血が増えたり、周期が予測不可能になったりしますので、その他の副作用がないのであれば、継続をおすすめすることになる。
その際、なるべく一日の中で「同じ時間」に内服してもらうよう、再度アスリートに確認をした方がよい。
規則的に服用継続しさえすれば現状の出血以上に量が増えてくることはまずないので、試合があったとしてもさほどコンディションを落とすことなく出場できる。
2シート目、3シート目に入ってもなお不正出血が続く場合には、OCの種類の変更(ヤーズ®以外のもの)を考慮するか、メリット・デメリットを勘案のうえOC服用そのものを見直すことになる。

また、OCを初めて試す場合は、最重要の試合を1ヶ月以内に控えた時期でなく、2〜3ヶ月以上の余裕を持っておいたほうが、こうしたトラブルに深刻に悩まなくてすむだろう。