2012年2月8日水曜日

まだ風邪沈没中

昨日から病院勤務に復帰。いきなり当直だったが、昨日は幸い何もなし。ただし風邪薬をのみやめたら、鼻水・咳の出ること、出ること。鼻声も変わらず。「全然風邪治りませんね〜」「そんなでマラソン走ったんですか〜?」と非常識に対する非難(?)を多数いただいた。もちろん・・・反論できず。

それでも今日は午後から読売新聞の取材。なでしこジャパンの活躍を機に女性アスリートに脚光があたるようになっているが、裏に無月経などの婦人科的な問題点をかかえるアスリートもいる、という視点からの特集づくりのようだ。駅伝があるおかげで(賞金レースで稼げるような)世界的レベルよりは一段落ちる中間レベルの「プロ」長距離選手が多数存在し無月経アスリートはこの層に多いという日本の特殊性、あるいは高校女子駅伝の功罪について持論を展開させていただいた。
担当記者さんは昨年9月のSTCIシンポジウムでの私の「女性アスリートの婦人科的サポート」という講演を聴いていてくれたとのこと。ありがたいことである。早く日本陸連で行っている「引退後の女子長距離走選手の卵巣機能・妊孕性に関する調査」の結果も知りたい、と言ってくれた。残念ながらこちらはまだアンケート回収率が低いらしい。数人の実業団OGに聞いてもまだ元所属チームからアンケートは送られてきていないとのことだ。各実業団チームに催促せねば。
また話題は高アンドロゲン女性アスリートの扱いにも及んだ。これはセメンヤ問題を期に、世界陸連が主に性分化異常症に由来する高アンドロゲン女性アスリートの扱いを特定の専門検査機関と調査委員会に判定させるというプロトコールを示したものである。確かに世界レベルの選手はその国際検査機関と委員会で扱うことになろう。ただし、例えば日本の中学校の県大会レベルで「高アンドロゲン」が疑われるような選手が現れた場合、どのように検査へ持って行くかというのは現実問題として難しいところである。「密告」のみを対象とするのか。医事委員が全試合をまわって観察するなどというのは無理な相談である。本人のプライバシーを考えても、できれば「有名選手」になってしまう前に抽出しておきたい。
現状では、各競技団体のジュニア・シニア両方の日本代表選出の際のメディカルチェックに血清テストステロンを含めておき、カットオフ値以上の選手には、慎重に追加検査を勧めるということしかないであろう。テストステロンを測定するにあたっては、選手の同意書が必要かもしれないし、追加検査の理由をどう説明するかもデリケートな問題である。
ただ、決してセメンヤ選手のように、世界大会で優秀な結果を残した後で、性別問題が指摘されるようなことがあってはならないと思う。これは日本の競技団体、あるいはJOC医学サポート部会の恥だ。何より当該選手に申し訳がない。

0 件のコメント: