2018年6月8日金曜日

エストラーナテープ®に返戻がつかなくなった

若年女子アスリートに対するエストロゲン補充療法に用いる製剤として、経皮吸収エストラジオール製剤であり、「性腺機能不全」という若年者への投与を前提とした適応病名を取得しているエストラーナテープ®を、自分自身ももっともよく処方してきたし、他の女性アスリート診療に携わる婦人科の先生方にもお勧めしている。

ところがこのエストラーナテープ®、自分の大学病院で処方する限りではいっさい保険の返戻・査定の対象にはなっていなかったのだが、週1回外来を担当している個人病院で処方すると、なぜかレセプトが返戻されてくることがかれこれ3年以上続いていた。「若年者には不適当」という納得しがたいコメントとともに。
この病院ではアスリート外来も開設しているので、17〜30歳くらいの若年者へのエストロゲン補充を要する患者さんは、それなりに多い。全てのエストロゲン剤が査定されてしまっては病院に迷惑をかけることになるので、やむをえず患者さんに事情を話して、自費で処方させていただくことで対応していた。
他の都府県の先生方に事情を訊いてみても、アスリートへのエストラジオール製剤処方が返戻の対象になるなどという地域は他になかった。県内でも大学病院からの処方は認められていたわけで、一部地域に限られていたのだろう。そんなローカルなルールが、受診してきてくれるアスリートに負担を強いているというのは許せなかった。
そこで県の保険審査担当の医師に何度も直談判してみたが、埒があかない状態が続いていた。

ところがこの半年くらい、いつの間にかエストラーナテープ®が返戻されなくなっていることに先日気がついた。
保険審査の担当者が交替したか、あるいは、他の病院からも同様の処方かクレームが多く出るようになり再検討されたか。
無月経アスリートへの治療には経皮投与のエストロゲン剤が推奨されると明記された「女性アスリートのヘルスケアに関する管理指針」が2017年11月に日本産科婦人科学会より刊行されたことも何らかの後押しになったのかもしれない、と考えている。
いずれにせよ、喜ばしい変化である。

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