2012年3月20日火曜日

including, but not limited to ...

ドーピング禁止物質は毎年少しずつ改訂されるので、新しい禁止物質リストには目を通しておかねばならない。禁止物質リストはWADAのページからダウンロードできるので、必要があればその都度すぐ確認することができる。このProhibited Listを読むときにいつも「どういう意味だっけ?」と一瞬考えるのが、標題にあげた"including, but not limited to ..."という決まり文句だ。例えばこんな感じ。

The following classes are prohibited:
Other anti-estrogenic substances including, but not limited to:
clomiphene, cyclofenil, fulvestrant.

この条文は、clomipheneなどの物質はダメだと言っているわけでそこを間違えてはいけないのだが、直訳すると
「以下は禁止される:その他の抗エストロゲン物質、以下を含むがそれに限定されない:クロミフェン・・・」
とでもなろうか。どうしてこんな理屈っぽい言い方をするのかと思ったら、この語法は(Prohibited Listに限らず)英文の契約書や約款に良く出てくる言い回しらしい。”including"のみにしたときに、以下に続く具体例のみに制限的に解釈した裁判所がかつてあったようで、それが理由で「それだけに限定されない」と念押しするようになっているとのこと。契約社会らしい表現だ。


ちなみにここで例にあげたクロミフェンは、無月経や不妊症の治療で広く排卵誘発目的に用いられる内服薬だ。禁止物質であることを知っておいてほしい。

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