先日このブログで、無月経のランナーでもほとんどは引退後に月経が来る、と書いた。もう少し詳細に説明すると、引退時点で無月経だった実業団ランナー16名のうち、半数が(なんと)3ヶ月未満で、15名が3年以内に月経が回復していた。月経回復までの体重増加は平均6kg。ただ1人月経が回復しなかったのは、体重増加がなく市民ランナーとして走り続けている選手だった。
ところがこの調査対象選手の中に「原発性無月経」、すなわち生まれてこの方いちども月経が来たことのないランナーは含まれていなかった。
引退して体重が増えれば、いったん思春期にできあがってその後冬眠していた排卵の能力が回復するのはわかる。では、そうした排卵・月経の機構がいちども機能したことのない女性の場合、たとえば20代中盤を過ぎてからあらためて思春期が来るようなことが起きるのか?もう手遅れということはないのか?
これは確かに重要な疑問であり、現時点では20歳過ぎまで原発性無月経の選手が引退後に速やかに下垂体、卵巣機能が正常化するかどうかについては、まだ何とも言えないということになる。今後の調査が必要だ。
個人的には、20歳代のうちならスポーツに起因した原発性無月経(初経発来遅延)であれば、引退後に自然に排卵が開始するだろうと予測している。
ただし、もし大学あるいは実業団入りの時点で原発性無月経のアスリートがいれば、産婦人科で精査をすることが必須である。精査には、染色体検査・ホルモン採血・MRI検査などが含まれる。
2009年のベルリン世界陸上でセメンヤ選手の性別問題があったように、性分化異常症の選手がスポーツ界には「濃縮されて」存在することがわかっている。競技で有名になってからこのような問題を指摘されるのは、きわめて望ましくない事態である。
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