2013年7月29日月曜日

奥武蔵ウルトラマラソン〜涼しさに助けられて初めての快走

7月に移った奥武蔵ウルトラ。涼しさに助けられて、大幅自己新達成。公式は6:55:18。年代別28位、男子53位、総合55位。
これまで、この77Kウルトラマラソンには後半何回となく泣かされてきたが、距離に負けていたというより暑さに負けていたことがわかった。
それほど今回は快適に走り切れた。5Kごと(押し忘れにより10K、15Kのものもあり)のラップは以下の通り。26:47(182)-51:03(183)-23:39(183)-28:10(180)-82:49(180)-27:51(181)-31:44(166)-51:10(181)-25:42(181)-25:24(183)-26:39(183)-15:20    *(   )内はピッチ数

2013年7月11日木曜日

AERA 7.15号でも安藤美姫選手記事にコメント

最新号のAERAにも安藤美姫選手の記事があって、そこに電話取材でコメントした。こんな記事になっている。



一般的に、出産でトレーニングを中断したり、練習量が減ることで競技力は低下する。妊娠・出産によって体重や体脂肪が増えたり、ホルモンの影響で靭帯が緩んだりするなど体の変化もあり、産後1年ほどは元の体に戻すのは難しいと言われる。
日本陸上競技連盟の医事委員などを務め、女性スポーツ医学に詳しい埼玉医科大学の難波聡医師は、
「一時的に競技力が低下しますが、1年ほどで影響はなくなります。ただ授乳期間中は緊満した乳房を抱え、敏捷性やスピード、ジャンプの高さを競うのは不利で、本格的に競技復帰をするのは難しい面もあります」
ただ、故障さえなければぎりぎり間に合う可能性もあるという。逆にブランクが好影響を与えることもある。慢性疲労やケガからの回復が見込めるからだ。
 怖いのはケガだ。難波医師によると、授乳中は骨密度が低下しやすい上に、出産後に体重を減らそうと食事制限することでカルシウムなどの栄養素が不足し、疲労骨折などを起こしやすい。早くアスリートの体を取り戻そうと、筋力が戻らないうちに無理なトレーニングをすることも多く、ケガをしやすくなるという。
 4月に出産した安藤も5月に練習を再開し、6月のアイスショーで産後2カ月とは信じがたいスリムな体型を披露。急激な減量や無理な練習による体への負担も心配される。


2013年7月6日土曜日

安藤美姫選手について追加〜今度は日テレ

昨日は外勤先に日テレ「シューイチ」の担当者がやってきたので、また安藤選手のことや出産後の競技スポーツ復帰について、話をした。放映は7月7日(日)8時前くらいからとのこと。

出産後の競技復帰の先例として、ラドクリフさん、赤羽さん、小崎さんなどがとりあげられるが、今回の安藤選手とは大きく異なる点が一つある。前者が、出産後にも数年単位で競技生活を息長く続けることを前提に復帰しているのに対して、安藤選手は10ヶ月後に迫った特定の試合(ソチ五輪)だけをターゲットにして、五輪で引退することを前提にしている点だ。ひょっとするとバレーボールの大友選手なども安藤選手型だったのかもしれない。
だからこそ安藤選手は産後の練習再開を急ぐわけだし、悲壮感を湛えつつ勝負試合に類い希なる集中力で臨むという安藤選手のスタイル(美学?)にも合致しているように思われる。
婦人科スポーツドクターである私としてはかねがね、結婚後・出産後に競技生活のピークを迎えるような「ホンモノの成熟した女性アスリート」が日本に増えて欲しいと願っている。だから、できれば安藤選手にも(せっかく産後に復帰するのだから)ソチ五輪で燃え尽きるような競技生活の終わり方ではなく、4年後くらいまでを視野にいれた息の長い活躍をしてほしいと思う。そうしてこそ「(無理しないと)母親業と競技生活は両立できない」というメッセージではなく、「出産後も競技を続けられるんだよ」というメッセージを後輩の女性アスリートたちへ贈ることができるのではないか。
そして、五輪への挑戦がうまくいったにせよ不幸にして失敗に終わったにせよ、妊娠中のトレーニング内容や産褥の復帰プログラムなどをぜひ(後日)公開してほしいものである。これは今後、出産後の競技再開を目指す女性アスリートにとって大いに参考となるはずだから。
というわけで、五輪への挑戦が終了した後の安藤選手の生き方にも注目したいと思う。

2013年7月2日火曜日

TBS取材〜女性アスリートの妊娠・出産とその後の競技復帰について


昨日の安藤選手の出産公表を受けて、さっそくTBSが夕方コメントを求めてやってきた。テレビカメラ付きなので、あわてて髭を剃り直して産婦人科外来でインタビューを受けた。もちろん安藤選手の妊娠経過や五輪までのトレーニング計画については知る立場にないので、一般論だけ。
 以前に比べて、多くの種目で女性アスリートに注目が集まるようになり、アスリート自身も長く競技生活を続けることに意義を見いだしやすくなっている。だから結婚や出産を経ても競技を継続したり復帰したりする女性アスリートが増えてきているのだろう。陸上やマラソンのような個人競技だけでなく、サッカーやバレーボールでも話題になった。
出産をしたからといって競技力が激変するわけではない。もちろん1〜2年のブランクがあるわけだから、一時的には競技力は低下するし、出産後1年くらいはなかなか元のアスリートの体に戻すのは難しいものだ。これは体重、体脂肪などの体組成の面もあるし。単にトレーニング時間を十分捻出できない事情が大きいだろう。また、授乳を継続すれば、緊満した乳房をかかえて敏捷性やスピード、ジャンプの高さを競うのは不利であるし、1〜2時間おきに授乳・搾乳をしなければならないと練習への集中力も損なわれる。また授乳中は骨密度も低下しやすいので、疲労骨折なども起こしやすい。出産後の早期マラソン復帰を企てたラドクリフ選手も、恥骨の疲労骨折で苦労した。だから、なかなか授乳をしながら本格的競技スポーツへの復帰というのは難しい。
また、妊娠中にどれくらいトレーニングを継続できたかも産褥の復帰に影響してくる。当然妊娠後期までトレーニングができているほど、競技力回復が早い。ただトレーニングは休止せざるをえなかったとしても、妊娠中というのは病気療養をしているのと違って、増加した体重による自重負荷や心拍出量の増加によりある種の負荷状態であるので、切迫早産で長期臥床を強いられたのでもない限り、スムーズな回復は見込める。
したがって、もし体型をすばやく競技仕様に戻せて、また犠牲を払って授乳をある程度のところで中止するならば、早期の競技復帰を果たすことはできるかもしれない。1年間のブランクといっても、それが連戦による慢性疲労からの回復、故障の治癒、新たなモチベーションにつながるならば、逆に妊娠前よりも強くなることもありうる。特にブランクによる加齢が不利となりにくい(30代で競技力のピークを迎えるような)持久系種目や技術がモノを言う種目(マラソン、ゴルフなど)にあてはまるだろう。フィギュアスケートでは前例がなく難しい競技だとは思うが、安藤選手はまだ25歳と若いし、元々の能力は素晴らしいので、どこかでやれるか注目だ。
ただし、乳幼児をかかえての競技復帰には、家族やスタッフによるサポートが絶対に必要。合宿や遠征で子供から離れる時間が長くなると、自分の競技ばかり追求していいのかと自問することにもなるだろう。育児そのものに加えてメンタルのサポートも必要になる。
こんなことをとりとめもなく喋った。

7月3日の「ひるおび」の中で、12時40分過ぎのどこかで放映されるとのことだ。