2007年12月25日火曜日

当直前に学生2人と奥武蔵練習会(グリーンライン)


昨日の朝は埼玉医大の学生2人と一緒に早朝6時半から練習だった。このパターンの練習は1月に1回ぐらいの割で不定期に僕が主催しており、たいてい奥武蔵グリーンライン方面に山を登って下りてくるコースをとることにしている。
奥武蔵GLを走ることは、最初に奥武蔵ウルトラマラソンで教えてもらい、実際に練習コースとして使うことは毎週末に早朝5時から走っている「奥武蔵道場」の皆さんならびに掲示板から情報を得たことになる。
昨日もまず病院内の産婦人科医局に集合し(6時半なのでまだ薄暗かった)、医大〜桂木観音〜黒山〜林道を登って奥武蔵GL〜北向地蔵〜鎌北湖〜毛呂山総合公園〜医大、というコースを走った。
2年のU君は実習続きで練習不足だったようで、早くも桂木観音への登りで息が切れており、黒山からの林道で着いてこられなくなってしまった。一方、6年のM君は比較的コンスタントに練習ができているようで、苦手の登りを克服し最後まで併走。卒業してからも市民ランナーとして仲間になって欲しい人材である。
登りでは心臓を鍛え、下りでは脚を鍛えるハードなコース。特に下りでは脚にきて、今も少々膝が痛い。
計2時間15分。約22kmぐらいか。
9時から僕が医大で当直をしなければならずU君を途中で待つ時間的余裕がなかったため、またU君もこのコースは数度走っていて迷う心配はないため、一緒に走りきることはできなかったのが少々残念である。ちなみに9時に当直を引き継ぎ、シャワーを浴びたところにU君はちゃんと医局に戻ってきていた。安心。
せっかくポケットに忍ばせていったデジカメの充電が切れてしまいいい写真がとれなかった。昨夏に同コースを練習会で使ったときの写真を載せておく。

2007年12月18日火曜日

MTX〜子宮外妊娠は内科の病気に?

9月から本格的に子宮外妊娠に対するMTX(メトトレキサート)治療を導入した。方法は、50mg/m2の単回投与。1週間後に血中hCG値の15%以上の低下が認められなければもう1回。従来は卵管妊娠と判明したら、原則として破裂未破裂、血中hCG値、本人希望にかかわらず手術療法(卵管切除)をおすすめしてきたわけだから、大いなる方針転換だ、というより強力なオプションの導入である。
導入に当たっては臨床検討会(CC)を私と研修医で担当し、この治療法による完遂率(hCG陰性化するか)や次回妊娠予後(卵管妊娠再発率)のデータを調べ、AOCOGのプロトコールをたたき台に議論をした。さらに卵管を温存する場合の治療法として、線状切開単独がもっとも劣り、「MTX全身投与」と「線状切開+MTX局注」がほぼ同等であるとの論文を検討した。
で、現在は卵管切除とMTX全身投与を患者に選んでもらっている。MTXを行う場合の要約(必要条件)はいくつかあるが、一応血中hCG値を5000未満としている。5000を越えていても患者の希望が強く、MTXを行った例が2例あるが、1例はhCG低下中に腹腔内出血が始まり、もう1例はhCGが上昇して胎児心拍が見え始めて、いずれも手術に移行した。
先日の四大学「臨床フォーラム」ではT医大の先生が、hCG値の基準は設けないと発言していたが、AOCOGのプロトコールでも我々の経験からも5000以上は慎重になった方がいいようだ。
またhCG値は下がっても卵管腫大や局所の血腫は半年近く残存することも多く、すぱっと患部を切除したい外科医としては、忍耐が必要である。
今後の課題は、「線状切開+MTX局注」もIRBを通して患者のオプションとして導入することと、どういうケースでMTX全身投与の成功率が高いか(逆に、うまくいかないか)を検討していくことである。
臨床フォーラムでは、MTXは過去の治療法のリバイバルであって腹腔鏡を主とすると従の治療法に過ぎないようにも言われていたが、そんなことはない、きっちりしたエビデンスを出していける治療法だろうというのが実感だ。単回投与でいくかぎり、副作用はほとんどなさそうである。ただしもちろん万能ではない。
ご意見を待つ。

2007年12月16日日曜日

宮沢湖クロスカントリー〜たなぼたのラッキー3位入賞


これもスポーツエイドジャパンの主催する大会で、車で自宅から20分ぐらいのところにある宮沢湖(飯能市)の周辺の不整地をコースとしたクロスカントリー、というよりトレイルの大会だ。10kmの部は宮沢湖の南西側の山を大きく周回する5kmコースを2周である。
コースのほとんどが不整地だが、スタート直後の約400mのみ舗装の園路を走る。
ちなみに今日のスタイルはトレイルらしく、全てアシックスでネイビーの防水防風キャップにサングラス、ネイビーxオレンジの半袖ジップアップシャツにアームウォーマー・手袋、ボックス型パンツ、トレイル用ソックスにお気に入りのゲルトラブーコⅩであった。
走った感想は・・・・きつかった、というのが第一。先週トレイル練習をしたとはいえ、ここまで心拍数を上げて(平均169bpm)急坂を上り下りするとさすがに心臓に来る。1周目が25分12秒。下見もなにもしていなかったので5kmが相当長く感じた。2周目に入って、明らかに登りにかかるときのぐいぐい跳び上がるパワーが落ちているのを実感する。闘争心が減退し、1人にあっさり抜かれつつ「無難に完走」モードに入ってしまった結果、26分02秒と2周目の方が50秒も落ちた。が、コースがわかっているせいか2周目はあっという間だった。
登りが得意と自称していたが、いったん息が上がってしまった後は得意だろうがなんだろうがきついことにかわりはなかった。
下りでは3回も右足を着地時にひねったが、歴年の捻挫癖が幸いして、足首はくるっとねじれて特に痛めることなくクリアできた。だからトレイルレースの下りはこわいし、スピードを出し切れない。
総合順位では10位ぐらいではなかったかと思うが、ゴールしてみると、39歳以下の部「3位」の紙片を渡され、なんと3位入賞であった。1位とは10分近く、2位とも5分近く空いているので、かなりラッキーな(少々恥ずかしい)3位である。地元の柚子1箱とランニング用五本指ソックスをいただいて帰った。
市民ランナーになってからの表彰は、太っ腹の江東シーサイドマラソン20kmで20位代ながら楯をもらったとき以来である。3位なんていう順位も初めて。気分良し。
スポーツエイドジャパンのレースは、コースがハードで中身が濃くて走り応えがあるのに、まだ参加者が少ないおかげで順位をとる楽しみがある。表彰式ではいつもおなじみの舘山さんから「チャレンジラン&ウォークも1位でしたね!」と話しかけていただき、恐縮する。
それにしても「心臓のばくばくする」スピードレースにやはり弱い。元800mランナーとは思えない。が、現役(学生)時代から1500、5000には弱く、むしろ無酸素で乗り切る400の方が強かったから適性はかわっていない。心臓ばくばく」強化のため、東松山元旦早朝マラソンに無性に出たくなってきた。すでに申込みが締め切られているので、明日主催者に直接電話でかけあってみることとする。

2007年12月15日土曜日

初の「第1位」獲得判明〜奥武蔵GLチャレンジラン


スポーツエイド・ジャパンから送られてきた「第4回奥武蔵グリーンライン・チャレンジラン&ウォーク」の完走証を見てびっくり。「第1位」と書いてあるではないか!あわてて同封の記録集を見ると、写真の通りで、本当に一番上に名前が載っていた。
これは10月14日に行われたフルマラソンの距離を使ったレースというよりイベントで、実際プログラムには「表彰は行わない」と書いてあった。僕自身もつくばマラソンへ向けての走り込みの一環として、あえて前橋の学会をさぼって出場した。高低差800mを33kmぐらいまで登り、そこから600mを駆け下るというハードなコースだが、奥武蔵GLを物見山、顔振峠、高山不動、刈場坂峠、丸山と抜けていくコースは、奥武蔵ウルトラマラソンや日曜の奥武蔵練習会でおなじみである。
練習と割り切って前半ゆっくり目にスタートしたのが功を奏して、中盤から徐々に調子が出て最後の下りでは5Kを19分を切る猛チャージ。我ながら上手に走り切れたなあと満足していたのだが・・・。
ちなみに参加者は男女あわせて合計359人。チャレンジラン&ウォークの名の通り、ほとんどを歩いている参加者ももちろんたくさんいたし、なにしろレースではないのだから、1位といってもあまり価値はないかもしれないが、この日の快走がつくばマラソンの自己新につながったという気がしていて(以前のエントリーに書いたとおり)、僕にとっては意味が大きいのである。
さて、どうやら自分は登りが得意なのではないかと再認識し始めている。そういえば8年ぐらい前に岡崎市で大学院生活を送っている頃に出場した「御岳マラソン」も1500mのぼるフルマラソンだったが、やはり3時間半ぐらいで快調にのぼりきって思わぬ高順位だった記憶がある・・・・。
究極の登りレースといえば・・・そう、富士登山競走である。2008年はいよいよこれにチャレンジせねばなるまい。新たな世界が開けるかも。

アシックスのフリースグローブは優秀


アシックス・ランニングフリースグローブを先月川越のB&Dで購入したが、これがなかなかのすぐれものだ(XTG134)。
2008年モデルの新製品だが、とにかく薄いのに暖かい。これまではスキーグローブかと見まがうようなアシックスのアウトドア用グローブか、またはニットの普通の手袋を使っていたが、これはそれらより暖かい。手がもこもことしてしまうこともない。
しかも上品な素材、デザインなので、スーツやコートのときにもそのまま使えるではないか。
約3000円と値段が張ることが唯一の欠点か。今年の冬はこれで手元は乗り切れそう。

2007年12月14日金曜日

別大マラソン申し込み

先週末に埼玉陸上競技協会に承認印依頼のために郵送していた申込書がやっと昨日返送されてきたので、今日これから第57回別府大分毎日マラソンの申し込みをする予定。
別大の参加資格が2時間40分から50分に緩和されたのを知ったのが、2年前の大田原マラソン会場だった。2時間50分台のフィニッシュ後の更衣室で、他のランナーが声高にしゃべっているのを聞きつけ、わずか1分差に悔しい思いをしたものだった。しかも前回50分を(かろうじて)切ってからちょうど2年経過してしまっており資格記録も時間切れ。昨年、今年の別大は指をくわえて見送るしかなかった。
いよいよ2年越しで来年の別大マラソンにエントリーできることになり、感慨深いものがある。
実は今年11月の臨床スポーツ医学会で別府に行ったときに、(まだ出場資格を得てもいないのに)別府から大分市陸上競技場までの復路のコースを試走してみた。
テレビでおなじみの別大国道は平坦で走りやすかったが、海風を受けたら寒くてきついだろうなあと思った。橋を渡ってすぐ左折して競技場へ向かう最後の1kmでは、中山竹通選手と森下広一選手の激闘が生々しく思い出された。

ところで埼玉陸協に承認印依頼の電話をしたら、「今年から費用が400円かかります」とのことではじめて80円切手5枚を同封させられた。返信用の封筒もこちらで準備するわけだし、ただはんこを押すだけで400円とは若干腑におちない気もしたが、押印を断られても困るし、事務職員の人件費などの足しになるのであればいいか、と日本陸連医事委員らしい鷹揚な考えで、素直に支払った。
他都府県の陸協でも同様の手数料をとっているのだろうか。今後、陸協に承認印を依頼する方は注意してほしい。
防府マラソンなども以前は陸協の承認印が必要だったが、最近は陸連登録証のコピー同封で十分になっている。大会主催者側にも、昔ながらのやり方を再考してほしい。

2007年12月13日木曜日

不本意ながらまだ休養期間が続いている・・・

週末のトレイルランをもって別大へ向けての走り込みを徐々に開始するはずが、今週もまだあまり走れないでいる。日曜日は、夜からCC準備で病院泊り込み(半徹夜)、水曜は早出、夜は当直、今日木曜日も当直というわけで、朝の通勤ランをするタイミングがない。夜はトレイルの疲労感があって、せいぜい最寄りの越生線の駅までしか走るパワーがない。
今週末は宮沢湖のクロスカントリー(またトレイル!)だから、来週からコンスタントに通勤ランを復活させるつもり。
忙しいと、食べたものをメモするヒマがなく、カロリーコントロールもあやしくなっている。しかも先週から忘年会シリーズがスタート。注意、注意。

2007年12月11日火曜日

大高取山トレイルラン


一昨日の日曜日には、2日続けてのトレイルランとして、近くの大高取山へ出かけた。まずゆうパークおごせという温泉保養施設に車を停めて、越生駅〜越生町役場〜梅林入り口と約5km走って、北側の登山口から登り始めた。
このコースは300m程度の低山ということもあって、昨日の西武線沿いの奥武蔵の山とは違い、ごつごつした石の露出が少なく、急坂もあまりなく、非常に走りやすい。しかも植林の間を縫うようにトレイルが延び、木もれ日が美しかった。
昨日の影響で大腿前面が筋肉痛で、ゆっくり40分程度かけてのぼり幕岩という展望台で展望を楽しみ、また40分程度かけてゆうパークおごせまで下った。ゆうパークでの入浴は、値段が高いのが難点だが(大人1人1900円)ちょうどコースの終点にあるという絶妙のロケーションなので、やはりおすすめ。
この2日ともトレイルシューズはasics Gel TrabucoⅩ(海外モデル)。トレイルシューズも不整地を走らせてもらうと本望で嬉しいだろう。2日続けてシューズに栄養をあげた気分。

医学部の陸上部後輩女医からメールがあった。来年は恒例の1月3日皇居40km走はどうするのかという質問。実は来年1月2日が大学当直にあたってしまい躊躇していたのだが、毎年自分で主催してきた行事、せっかくだから続けようと思う。
ゴール後に日比谷公園まで徒歩で移動し、箱根駅伝の10区を観戦するというオプションもやめがたいので、10時にスタートしておいてもらい、僕だけ10時半すぎに桜田門到着、30km、とする予定。参加希望者はご連絡を。

2007年12月9日日曜日

6年生追いコン&忘年会


埼玉医大陸上部、初の卒業生誕生&追いコン。僕の着任間もない時期に(名前を聞きつけて?)医局まで会いに来てくれたり、実習に回ってきて活躍してくれたり、一緒に大会に出たり、休日の早朝から奥武蔵練習に駆り出したり、といろいろ思い出深い2人である。
卒業後もぜひ陸上部の行事や市民マラソンに顔をだしてほしい。
OB・OGがちゃんと「帰ってくる」ところがあるように、われわれも部を盛り上げて、存続させていかねばならない。まだまだ部員も活動も少ないが、いい方に向かっていると思う。部員数、練習場所、練習時間の確保がたいへんではあるが、頑張っていきたい。

大高山・天覚山トレイルラン




つくばマラソンの後、約2週間を「休養期」に当てていたが、防府マラソン欠場で空いたこの週末からいよいよ別大に向けて始動である。まずは久しぶりにトレイルランでリフレッシュ+地力強化、というわけで、昨日は西武秩父線の吾野駅から南側の大高山〜天覚山のコース。8時47分に吾野駅に着。
スタイルは、上は長袖シャツに東京マラソン2007ウインドブレーカー、下は東京マラソン2007ロングタイツ、さらに縁なしキャップとサングラス、手袋(アウトドア用ゴアテックス)。ミネラルウォーター500mlをボトルに移してディパックの底に装着。
ガイドブック(JTB発行の大人の遠足BOOK「秩父奥武蔵をあるく」)によれば、西武線北側の奥武蔵グリーンライン方面の山に比べて知られておらずハイカーも少なく道や道標も整備されていない、とのことだったが、まさにその通りだった。天覚山までですれ違ったハイカーが1人、追い抜いたのが2人連れ1組だけ。
今回のコースの北側に位置する伊豆が岳(先月走った)に比べて急坂や岩場は少なく、走れる区間が多かった。予想以上に早く進み、大高山まで35分、天覚山までで70分。東吾野駅へは下りずにそのまま東へ進み、一般道を渡ってからの区間は特になだらかな稜線で気持ちよく走れた。基本的に南東に向かうので絶えず太陽の方向に向かうことになる。日差しが時折正面からさしてきて、トレイルを明るく照らしてくれた。ただし日陰では休憩や下りの後には汗が冷えて少々寒く感じた。
元々の計画では久須美峠から左折して武蔵横手駅へ下りる予定だったが、乗る予定の電車まで1時間近くあったことから予定変更。そのまま進んで多峯主山(とうのすやま、と読むらしい)から東飯能駅へ向かった。このあたりはもう標高も下がり、民家の庭裏の不整地を縫うように走る部分もあった。
多峯主山周囲のハイキングコースは現在造成中で、南側の御岳八幡神社へ出ざるをえず、そこからは一般道を15分ほどまっすぐ下って東飯能駅まで。計2時間50分ほどであった。距離は約17km。12時01分発のJR八高線と川越乗り換えの東武東上線で帰宅。
今回発見したことの一つは、補給食としての羊羹が非常においしかったこと。チョコレートはどうも途中で食べるのにしっくりこないので、コンビニで購入した一口サイズの羊羹を試したところこれはよかった。1個170kcal。
写真はこちら。
http://web.mac.com/aknamba/iWeb/Site/4E63A4F1-A5EA-11DC-892D-000D9334921A.html

2007年12月8日土曜日

ブログアドレスを変更しました

「難波 聡の走る産婦人科医局長日記」として.MacのiWeb作成のブログを公開してきましたが、使いにくい点が多く、本日からGoogle Bloggerに乗り換えるとともにタイトルもあらためました。
ランニング、スポーツに関するブログに特化していきたいと思います。
なお産婦人科医療、医学に関するテーマは、「産婦人科・不妊・遺伝・無月経」という名のブログで扱っていきます。
http://amenorrhea.blogspot.com/

よろしくお願いします。

2007年12月5日水曜日

初期研修医の志望科自主当直はあり?

研修医2年目のH君が、自主当直しに来てくれている。H君は長野の産婦人科の次男で本学出身。産婦人科医になることを決めている。
2年目の研修プログラムも最大限に産婦人科研修を選択し、10月までの半年間を産婦人科で研修した。だから付属器切除術はもちろん帝王切開も既に6例近く執刀している。
11月は学外病院での研修だったため院内では姿を見なかったが、今月は大学に戻ってきたとのことで(精神科の研修)、ちょいちょい当直をしにくると言っていて、本当に来てくれた。もちろん教授も了解済み。
こちらとしてはもちろん当直帯の人手・戦力が増えるという意味でも嬉しいが、彼の熱意が何よりも嬉しい。
ただ気になるのは、研修管理委員会が何というか。なかなか融通の利かないことで名の通っている研修管理委員会のことだから、うっかり問い合わせれば、そのときの研修科以外の当直はできない、とか当直料は出せない、とか言いだしかねない。
月末に当直者名簿として黙ってH君の名も提出するつもりだが、さてどうなるか。
他の病院ではどうだろうか。他科研修中の志望科当直は認められているのか。教えてほしい。
もちろん当直日夕食代は研修医当直の例に漏れず、こちらで奢った。

メチレーション・テスト 研究対象に何を選ぶ?

学内で月に1回、第1火曜日に行っている臨床遺伝カンファレンス。今回のテーマはPrader-Willi症候群だった。参加者は産婦人科、小児科、BSL学生(5年生)、その他病理部門の方々など合わせて25名ほどだった。
Prader-Willi症候群の原因は、染色体15q11-13の欠失が70%、母性片親性ダイソミーによるもの25%といわれる。
小児科のO教授にこの症候群の臨床上の特徴について概説してもらった後、病理部で染色体検査などを担当しているSさんが、FISH検査に用いた残りの細胞より抽出したDNAに対するメチレーション・テストがうまくいったという報告をしてくれた。
バイサルファイト処理、メチレーションの有無による塩基置換の有無、それによるPCR産物サイズの違いを用いて、父親由来の遺伝子(ここでは15q11-13に存在するSNRPRN)発現があるかどうかを調べるわけだ。ここの原理を最初に理解するのは、相当時間がかかったことを思い出す。今日の出席者の中でも、半分近くはよく理解できなかったのではないだろうか。
この病院の病理部でメチレーション・テストができるとは私も知らなかった。今後Prader-Willi症候群に限らず、様々な産婦人科臨床におけるインプリンティング異常に伴う病態について調べていけるという発展性がある。
成育医療センターで秦先生らが流産検体などを用いて精力的に研究をされているが、廃棄受精卵、胞状奇胎、癌、胎盤などいろいろ応用を考えたいところである。

Ⅳ度裂傷縫合後7日目の直腸出血 なぜ?

鉗子分娩後に会陰四度裂傷を生じてしまった症例。四度というのは膣壁の裂傷が肛門に及び、その奥の直腸粘膜面まで切れてしまっている状態だ。
この創を、会陰縫合用の2-0バイクリル・ラピッドという糸を用いて、直腸粘膜面、直腸筋層、膣壁と3層に分けて縫合した。6日間の入院中は排便もあったが特に問題なく、出血もなかった。
ところが分娩から7日目。急に肛門からの出血が始まったということで救急受診された。特に排便の直後からというわけでもなく出血の始まったきっかけははっきりしない。見ると肛門からじわーと湧いてくるように出血がある。膣内には出血はない。
肛門の外側からと膣内から圧迫止血を試みてもうまくいかない。外科当直医に肛門鏡を持ってきてもらい、見ると肛門から3cmぐらい奥の11時方向に出血点があった。おそらく縫合のいちばん奥のあたり。肛門鏡で見ながら出血点をガーゼで圧迫、直腸内2枚留置して、とりあえずは止血できた。
縫合後1週間の術後出血というのはたまに経験するところで、例えば子宮頸部円錐切除術後などでは、バイクリルが溶け始める1週間後ぐらいに再出血して外来に駆け込んで来るというのは頻繁にあることだ。
今回縫合に使ったバイクリル・ラピッドだが、ラピッド rapid というのは「急速な」という意味。溶けるのが早くて、半分の張力になるまでが5日。吸収期間は42日とされている。ちょうど張力が半分以下になった頃というわけだ。
しかし直腸粘膜面からの出血というのは初めての経験。糸がゆるむ時期といえ、なぜこんなことがおきたのか?
もともと粘膜下の動脈が切れていた?縫合時に直腸粘膜同士がきっちり合っていない個所?
ガーゼ圧迫で止血できたとして、今後問題は起きないだろうか。