2008年12月24日水曜日

全国高校駅伝雑感

(1)女子で優勝した豊川高校の留学生(ワイリム)の日本語は下手すぎる。インタビュアーが気をつかってゆっくり問いかけても、聞き取れていなかった。あれでほんとに日本語で高校の授業を受けられているのだろうか。ちゃんと教育もしないと、単に勝つために連れてきた助っ人と思われてしまうでしょ。あのインタビューで一気に豊川高校はイメージダウン。テレビ解説の山下さんにも「言葉もよく通じない中、指導がたいへんでしょうに」なんて言われてたけど、これは決して「感心」ではなくて「イヤミ」ないし「チクリ」でしょう。
(2)それに対して好感度高かったのは女子2位の興譲館。森政監督と1区の小原選手とは7月の世界ジュニアで一緒に遠征した。5区の久保木選手もわずか4秒差の2位なのに顔をゆがめて悔しがるでもなく「悔しいけどみんなで笑顔で襷をつなげてよかった」のコメントもグッド。
(3)世界ジュニア組からは熊谷女子から3区で岡田選手も出場。でも中継ラインに並ぶのが早すぎ。1位が到達する前から並んでいるのがテレビに映っていた。2分してやっと15位くらいで来るまで他校の選手に押しのけられそうになりながら中継ライン上で位置をキープしていたのは立派。
(4)「日本高校最高記録」というのは、外国人留学生がメンバーに入った記録は含まれないらしいことを初めて知った。
(5)男子はオレンジ色のユニフォームの学校がやたら多かった。佐久長聖、仙台育英、埼玉栄、倉敷・・・・。小林もパンツがオレンジ。チームカラーとしては確かに目立つけど、テレビでは区別がつきにくい。
(6)仙台育英の清野監督(24歳)。若い。青年監督。渡辺高夫監督から引き継ぐのは荷が重いだろう。テレビインタビューでのしゃべり方を聞いていても・・・・たどたどしい、というか少々幼い感じも。若いからダメということでは全くないが、他の海千山千の監督達や、生徒を預ける父兄達、選手を獲得しなければならない相手の中学校の先生達にナメられやしないか心配である。頑張ってほしい。
(7)仙台育英の4区斎藤君は、前半から少々顎の上がったあえぐようなフォームで、後続に絶対抜かれると思っていたが、独特の口ぱくぱく走法で逃げ切った。主人公が悪漢に追われているユーモア漫画みたいにも見えた。終盤はなんども目を見開いて歯を食いしばってあえぎながらペースアップを試みていて、普通はこれを何回もやっていると最後にがくっとペースダウンしてしまうものだが、この斉藤君は粘りきってしまった。驚き。
(8)佐久長聖はみんなフォームが同じような感じ。両肩を軽く持ち上げて腕でかかえるような感じでリラックスさせて、左右のぶれは全くなく頭も不動で、適度に上体を前傾させている。ピッチとストライドのバランスもみんな似たような感じ。箱根駅伝を走っている完成された大学選手みたい。本当に完成度の高いチームだった。
(9)佐久長聖がみんな似てみえるのはもちろん坊主頭のせいもある。世界ジュニアのときに両角監督が「坊主と携帯禁止が駅伝部の基本でしょ」とおっしゃっていたが、全くその通り。生活指導も行き届いているに違いない。立派である。そういえば村澤君もポーランドで一人で机に向かって勉強していたなあ。
(10)八千代松陰の1区は前半から上体が揺れ、苦しそうに集団についていて、最後はナンバーカードが一部とれて脚をひきずりながら後退していったように見えた。あれはもともとのフォームなのか、アクシデントだったのか、今でもまだ気になる。

2008年12月22日月曜日

チャレンジド宮沢湖クロスカントリー

昨年に引き続き、宮沢湖クロスカントリーに出場した。飯能にある宮沢湖といく周囲2kmほどの湖の西側山中を通るハイキングコースを用いたトレイルレースで、5kmを2周する。今年は発着場所が変わり湖1周の2.5kmが加わって12.5kmの走りごたえのあるコースに変更されていた。昨年は39歳以下の部で(1位、2位からは大きく離されたにも関わらず)ラッキーな3位入賞を果たして賞品をいただいた大会だ。
アップダウンはさほどのことはなく全て「走れる」トレイル。岩場などもない。昨年は用心してゲルトラブーコを履いて出場したが、今年は古い(3世代前の)ターサージャパン。あえてトレイルシューズでなくて、スピードに対応するためランニングシューズを選択した。
まずウォーミングアップでレースコースを1周走ったところが、7kmもあって40分以上かかり、あぶなくスタートに遅刻するところだった。
レースの方は、とにかく2周目でがっくりペースダウンするのを防止するために、ゆっくり入って徐々に上がっていく作戦をとった。ほとんどが比較的平坦な走れるトレイルと書いたが、周回の最後に一山越えて宮沢湖畔に出る急な登りがある。この登りだけはかなりきついのでマークが必要。1周目はまだ余裕あり無難に越えられた。しかしさすがに脚と心臓に平坦なロードとは違う負荷がかかり、心拍計を見るともう178などというバクバクする値が出て、なかなか下がらない。
2周目は自分でもはっきりわかるペースダウンだったが、じわじわと3人を追い抜いて、件の登りも息を止めて一気に駆け上った。ここで心臓が口から飛び出そうになり、「トレイルレースの登りは中高年男性の心臓突然死を誘発するかも」と改めて実感しながらゴールへ。
ラップタイムはこんな感じ。湖畔を2/3周走った昨年までのゴール付近でラップを押してみた。
思ったほどは2周目落ちていなかった。ならすとほぼキロ5分ということのようだ。

スタートから湖畔2/3周 6:22(140)
外周1周目      26:13(168)
外周2周目      26:38(171)
ラスト湖畔1/3周    3:18(180)  計 62:32
( )内は平均心拍数

レース後はトレイルシューズに履き替えて、またハイキングコースを7km jog。快晴で暖かく、実に気持ちの良いレース日和の日だった。

2008年12月14日日曜日

小川和紙マラソン〜雨中寒かったがまずまず

坂戸から電車一本で行けるこのマラソンは、タイムにこだわらなければ、前半なだかにのぼって後半の下りでペースアップと気持ちよく走れる大会だ。ただし今回はけっこうな雨。小川町駅から会場も雨中jogで行って、さらにそのまま10kmコースの前半を6kmくらいjogするという「だらだらロングW-up」で、ハーフに出場した。
前半はやはりなかなかペースに乗れなかったが、後半は集団から飛び出す3人とマッチレースを繰り広げながら順位を上げていくいつものパターン。ところが今年は競っていた2人にラストで突き放されるという、少々衝撃の展開。きつかった。

ゴールタイムは1時間21分42秒で、19:36-20:20-18:57-19:16-3:51というラップタイム。下り基調なのに15-20kmの19分台がいただけない。
帰りはぐっしょりぬれた荷物を背負って武蔵嵐山駅まで約6kmをとぼとぼとjog。一日合計36km。距離は稼げた。さすがにへとへと。

マラソン大会の安全管理〜主催者準備編

人為的に(主として主催者により)左右されるコンディションについても述べておく。
まずは給水の量と内容である。季節はずれの暑さに対して予定量を大きく上回る給水の需要が当日明らかになった場合は、全くもって対応困難かもしれない。しかしたとえばホノルルマラソンでは消火用の水道を給水に用いることで給水不足がおこらないようにしているというというから、参考になるだろう。
ドリンクの内容については、多くの場合協賛飲料メーカーから提供されるスポーツドリンクをそのまま供する場合がほとんどと思われる。ところが近年、各メーカーが販売に力を入れるアミノ酸飲料と称してブドウ糖をほとんど含有しないドリンクもよく用いられている。これは必ずしもレース後半のいわゆる「ガス欠」時に役立たないのである。2003年の東京国際女子マラソン「記念市民マラソン」の際も、バナナやチョコレートなどの給食はなくこのアミノ酸ドリンクが不足がちに残っているだけであった。この点も主催者としては一考の価値がある。
また、ある程度悪コンディションが予想される場合などは、特に初の参加者に対してレース前の郵送文書やホームページ上で、たとえば「例年気温は○℃くらいになる」とか「帽子の着用が望ましい」とか「多くのランナーがドリンクボトルを自ら持参している」などと、事前に目にとまるかたちで通知しておくことも有効である。
次に、交通の問題である。エリートレースでは完全交通規制が実施されるので問題にならないが、ローカルレースやウルトラマラソンではランナーに「なるべく道路の左側を通るように」注意を促しておいて同方向の車の通行をさせたままの場合がある。これはランナーからすると非常に危険を感じるところである。スピードを落とさない車もあれば、対向車とすれ違おうとしてランナーのすぐ脇をすり抜ける車もある。地元警察との協議、コース設定の工夫(一つ裏道を使うなど)により改善したい問題点である。

マラソン大会における安全管理の大部分は、ランナー自らが体調の自己把握をすること、適切な用具の準備をすること、コンディションに応じてペース配分を柔軟にすること、の3つで解決可能である。多くのランナーが手に取っているランニング専門誌を通じてこのことを啓蒙していくのが望ましい。
ただし主催者側は、全てのランナーが必ずしも上記の3つの基本を守るとは限らないという立場から、安全管理対策を講じていかねばならない。速いランナーだから安心だともいえない。一大会が終了するごとに、いわゆるヒヤリハット事例を広く集め、検証・改善につとめる地道な努力も必要であろう。

2008年12月13日土曜日

マラソン大会の安全管理〜環境要因編

マラソン大会は屋外で行われるものであるから、時として過酷な自然コンディションがランナーたちを苦しめることがある。
2007シカゴマラソンは10月としては季節はずれの猛暑で気温31℃に達し、ついには給水が枯渇しレースを4時間で打ち切ったという。数百人が救急搬送され死亡者も一名出ている。
私自身の経験でも、2003年の東京国際女子マラソンは「記念市民マラソン」として多くの男性市民ランナーが参加した。ところが11月下旬の開催にも関わらずスタート時の気温が23℃を越えたため、ほとんどのランナーが結果的にオーバーペースとなり、しかも給水が不足して脱水とガス欠に苦しめられることになった。招待選手の捨てていったスペシャルドリンクを拾い集めたい気持ちになったのを記憶している。私を含めて多くの男性ランナーがほうほうのていで時間内完走がやっと、タイムもベストから20分以上遅れる者続出であった。この惨憺たる結果のためか、この男性ランナー参加の試みは1回限りに終わってしまった。残念である。
北海道マラソンなどの夏場のレースやホノルルマラソンのような亜熱帯地域でのレースは、参加者も初めから暑さを想定して帽子やウェアを工夫したりペース配分を考慮したりするからまだいいが、「季節はずれの暑さ」というのは咄嗟に頭の切り替えができず、悲惨な結果に終わることが多いと思われる。
寒い方では、毎年2月に行われる青梅マラソン(30km)で氷雨に打たれたときは、ゴール後歯の根が合わずいつまでもガチガチと震えが続き、生きた心地がしなかった。フィニッシュ地点からすぐ全員を温かい室内に誘導できればよいが、なかなかそうはいかない。

また最近愛好者を急激に増やしているトレイルレースは、山岳地帯にコースが設定されることが多いため、ときとして過酷なコンディションとなることがある。
2008年のOSJ志賀野反トレイルレースでは、梅雨の豪雨と低温に悩まされた。コースは泥濘と化し転倒者が続出。標高1000mを越える尾根筋では強風も吹き荒れ、低体温症となり動けなる選手も出たという。
気候コンディションはよくてもトレイルの場合コース自体が転倒、打撲、捻挫や骨折の危険に満ちているわけで、2008年の青梅高水山トレイルでも、山中で強度の捻挫によりヘリコプター救助を要する選手を目の当たりにした。
2007年の日本山岳耐久レース(通称ハセツネ)ではついに夜間走行時の滑落による死亡者が出てしまった。
またトレイルには登り下りがつきものであるが、登りでは(ロードレースのラストスパート時に匹敵するくらい)心拍数が上昇することから、今後心停止などの事故も増えてくることが懸念される。じっさい2008年の富士登山競走では第61回にして初の死亡者が報告された。

2008年12月12日金曜日

マラソン大会における安全管理〜自己体調管理編

マラソン大会に参加する人というのは本来、休日をレースのために費やせるほど体力的に(時間的に、経済的にもだが)余力のある人のはずである。
こういう人があくまでも自由意志で参加してくるものであるから、その中にレース距離を走りきれない者や体調の悪い者が混じっていることを主催者側が想定すべき根拠は本来乏しい。だから、「レース中の健康管理、安全管理は自分の責任で行ってください」というそっけない文言が要項に含まれているレースも多く、これはある意味当然ともいえる。ランニングというのは本来そういうもの、すなわち自分の体調・安全管理を自分で行いながら自分の責任で行うものだからである。少なくとも、トレーニング中の安全管理は自分で行っているに決まっている。
ところが最近、ランニングイベントも多様化し、日頃からトレーニングを積んでいるとはいいがたい人たちが多く出場してくるレースや、酷暑期のレース、不整地や丘陵地帯のレースなども出場者を多く集めるようになってきた。
またレース中の突然死が(昔から存在したはずだが)特にクローズアップされるようになり、あたかもあらゆる事故は主催者側が防がねばならないかのような風潮になっている。現に、あるマラソン大会などではことこまかに「以下の方は走行しないでください」という条件をホームページに掲載したり、レース当日にも配布したりしている(表)。少しでも事故を防止しようという善意から出た発案だとは思うし、じっさいよくできていることは認めるが、一方でランナーに対して過保護ではなかろうか。ランナーとはもっと自分の体について自分で判断し自分で責任を持つべき、そしてそれができる人たちのはずである。
2008年の大阪国際女子マラソンで初マラソンに挑戦した福士選手が終盤失速して4度も路上に転倒したことに対して、日本陸上競技連盟が安全管理の立場から、競走強制中止の要件を定める対策を打ち出した。これなども市民ランナーとしては「そこまで決めてもらわなくてもダメなときは自分で判断する」と少々反発心を感じるくらいが正常である。「よろよろになっても走り続けようとする選手」は「結果が全て」の競技エリートであることが多いのだが、これがテレビで大写しにされることで市民ランナーへの悪影響を心配する、というのが日本陸連の考えである。
確かに多くのランナーは、日々のトレーニングならば体調や天候が悪いときには「今日は中止!」と即決できるが、ことレースとなると「せっかく出場料を払っているのだから・・・」と出場をとりやめたり途中棄権したりする勇気を持てないのも事実である。したがってこのような大会主催者や日本陸連の試みも無駄とはいえないのかもしれない。
じっさいにランニング中の突然の心停止や不整脈などからかろうじて生還した人が共通して語ることは、「いつもとは違った」「尋常でない痛みや苦しさがあった」ということである。この他人からはわからない「なにか変」に自分自身が気づくかどうかが非常に重要なポイントで、この「なにか変」を決して根性や気合、精神力で乗り越えてはならないのである。

2008年12月8日月曜日

黒山鎌北湖駅伝


昨日、毛呂山町と越生町のそれぞれの体育協会の共催による黒山鎌北湖駅伝に埼玉医大チームで出場した。大学病院の真ん前の県道もコースになる、まさに地元の駅伝だ。最長区間が5kmだから、距離は比較的短い。
あえて前日に大学当直を入れて大学病院から走って6区最終区の中継所に向かおうという作戦だったが、幸い当直は特に何もなくてまあまあ休めた。
で、越生の梅林の先の中継点までは約10km。のんびりjogしてちょうどコールの時間に間に合った。6区の4.4kmはほとんどが下り。ブレーキをかけないように努めた結果、普段はとうてい出せないスピードを味わったが、後半はさすがに心拍が上がってしまい、平坦路に入ってからきつかった。7人を抜けたし、区間順位もまあまあだったし、スピード刺激も入ったので、まずまず満足。

埼玉医大の2チームは1-2区で1年生たちがデッドヒートを繰り広げて楽しんでくれたようで、よかった。皆、楽しかったと言ってくれているので、今後のモチベーションアップにつながることを期待したい。

2008年12月5日金曜日

母体搬送コーディネーター

NHK特報首都圏で周産期医療体制の話をやっていた。
日本医大多摩永山病院では近隣の開業医にローリスク妊婦の健診を任せることで妊婦健診の数が6割になったという。その分ハイリスク分娩が2.5倍引き受けられるようになった、とのことだが、永山病院での分娩希望妊婦はローリスクでも全員引き受けるように言っていたから、分娩数は増えるだけなのでは?
開業医とのカルテと診療方針の共通化など、見習う点も多いが、大学病院の「疲弊」を救うことになっているのか、もう少し詳細を知りたいところ。中井章人先生の顔を初めて映像で見た。なかなかスマート。
その後は、母体搬送コーディネーターの話。神奈川県の救急医療中央情報センターは、医師でも看護婦でもない救急隊員と思われる人が電話を受けて搬送先を探すのだが、依頼される医師も、どうしても頼んでくる側が医師でないとわかると「その辺の緊急性がわからないからどうもねえ」などと断りやすくなってしまう。オペレーターの専門性を高める努力をしている、というが、どうしても医師はそのあたりいくら専門性が高くなっても、見下してしまう悪弊があるから、さてどうか。
これに対して大阪は有力病院の部長クラスが電話番(搬送先振り分け役)をやっている。これだと切迫早産なのか、合併症妊娠なのか(心臓疾患合併妊婦など)、胎児奇形なのかによって適切に搬送先を依頼できるし、かつての部下や教え子、医局の後輩などのところに依頼すればなかなか断られにくい。関西弁の気安さか、「とってくれへんかなあ」と言われると、なかなかスムーズに搬送先が決まるのではないだろうか。なかなかいいシステムだ。
埼玉県だと、大学病院の準教授以上がおそらく20人くらい、市立病院の部長クラスが5人くらい。これで持ち回りにすれば1ヶ月1回くらいですむ。空床のある病院を専用端末で検索するとなると、病院などに「当直」しないといけないが、インターネットを利用すれば自宅でもできる仕事である。現実味があるのではないか?