2008年12月13日土曜日

マラソン大会の安全管理〜環境要因編

マラソン大会は屋外で行われるものであるから、時として過酷な自然コンディションがランナーたちを苦しめることがある。
2007シカゴマラソンは10月としては季節はずれの猛暑で気温31℃に達し、ついには給水が枯渇しレースを4時間で打ち切ったという。数百人が救急搬送され死亡者も一名出ている。
私自身の経験でも、2003年の東京国際女子マラソンは「記念市民マラソン」として多くの男性市民ランナーが参加した。ところが11月下旬の開催にも関わらずスタート時の気温が23℃を越えたため、ほとんどのランナーが結果的にオーバーペースとなり、しかも給水が不足して脱水とガス欠に苦しめられることになった。招待選手の捨てていったスペシャルドリンクを拾い集めたい気持ちになったのを記憶している。私を含めて多くの男性ランナーがほうほうのていで時間内完走がやっと、タイムもベストから20分以上遅れる者続出であった。この惨憺たる結果のためか、この男性ランナー参加の試みは1回限りに終わってしまった。残念である。
北海道マラソンなどの夏場のレースやホノルルマラソンのような亜熱帯地域でのレースは、参加者も初めから暑さを想定して帽子やウェアを工夫したりペース配分を考慮したりするからまだいいが、「季節はずれの暑さ」というのは咄嗟に頭の切り替えができず、悲惨な結果に終わることが多いと思われる。
寒い方では、毎年2月に行われる青梅マラソン(30km)で氷雨に打たれたときは、ゴール後歯の根が合わずいつまでもガチガチと震えが続き、生きた心地がしなかった。フィニッシュ地点からすぐ全員を温かい室内に誘導できればよいが、なかなかそうはいかない。

また最近愛好者を急激に増やしているトレイルレースは、山岳地帯にコースが設定されることが多いため、ときとして過酷なコンディションとなることがある。
2008年のOSJ志賀野反トレイルレースでは、梅雨の豪雨と低温に悩まされた。コースは泥濘と化し転倒者が続出。標高1000mを越える尾根筋では強風も吹き荒れ、低体温症となり動けなる選手も出たという。
気候コンディションはよくてもトレイルの場合コース自体が転倒、打撲、捻挫や骨折の危険に満ちているわけで、2008年の青梅高水山トレイルでも、山中で強度の捻挫によりヘリコプター救助を要する選手を目の当たりにした。
2007年の日本山岳耐久レース(通称ハセツネ)ではついに夜間走行時の滑落による死亡者が出てしまった。
またトレイルには登り下りがつきものであるが、登りでは(ロードレースのラストスパート時に匹敵するくらい)心拍数が上昇することから、今後心停止などの事故も増えてくることが懸念される。じっさい2008年の富士登山競走では第61回にして初の死亡者が報告された。

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