2008年6月27日金曜日

日本選手権女子10000m〜手に汗握る好レース

当直先でテレビ観戦。不調不調と言われた男子400mHの為末選手のここ一番の集中力と意外な?ラストの頑張り、優勝にも感動したが、これも女子10000mの序章にすぎなかった。
今期好調の渋井さんが調子のピークをすぎていないか、ブログで練習経過を毎日追っているのでつい応援してしまう赤羽さんがラスト争いになったときにスピードのキレがどうか、本当に福士選手の調子は戻ってきているのか、やはり注目はこの3人だった。
それ以外にも何人かJISSで会っている選手も出場していて、見所いっぱいのレースとなった。
まず赤羽さんが自分でとびだしてハイペースの流れをつくり、牽制し合ってペースの上げ下げのあるレースを嫌ったのは賢明な作戦だった。しかも1000mからは渋井さんに引っ張らせることに成功したわけだから完璧だったといえる。渋井さんも先頭に立つことは織り込み済みだったろうし、風もなかったので先頭をひっぱるロスはあまりなかったのも最終的に好レースにつながった。
福士さんはスパートのタイミングをうかがっておけばいいわけだからペースについてはあまりこだわらず3番手キープ。これも本人にとっては理想的な位置取り。3人が3人とも思い通りのレース展開だったはずだ。
ペースも1周75秒のきっちりイーブンで、5000が15分41秒。完璧なペースメイクである。当然誰もこの渋井のペースを乱そうとする選手はおらず、きっちり実力の順に先頭集団から後れていく。面白いものである。
最後はA標準の4人が残り、やはり実力順で松岡選手が遅れ、いよいよ残り2000mで、予想よりも早いタイミングで福士さんが仕掛けた。このスパートはかなり強烈なものだったので、赤羽さんはちょっと危なかったと思われるが、振り切れないとみた福士さんがホームストレートにかけてペースを落としたので、結果的に一番急激なペース変化の少ないかたちで追いつくことができた。渋井さんはこの時点では急激に福士さんに対応しすぎたせいでダメージがあったかもしれない。
一番ダメージの少なかった赤羽さんが先頭になったのはスパートというより自然の流れ。福士さんがさらにラスト600mで2段目のスパートを放ったが、これまでなら国内選手はついて行けないはずなのに今回は違う。赤羽さんも渋井さんもほとんど離れず。ラスト1周の鐘。
ここでの余裕度はひょっとしたら渋井さんが一番なかったかもしれないが、スパートをラスト200mまでとっておいたという作戦通りだったようだ。ラスト250mで赤羽さんが満を持してスパートを放つとさすがに福士さんが遅れ、渋井さんとの一騎打ちに。
赤羽さんもよく逃げたが、ラストの脚は貯めていた分渋井さんがまさった。31分15秒の好記録での優勝、五輪内定だった。
赤羽さんとしてはほぼ完璧なレースだったが、もう少し早く福士さんと一緒に逃げれば、あるいは勝てたかもしれない。
福士さんも実力は同格。2回も仕掛けて不発に終われば負けてもしょうがない。しかしあれだけのスパートに日本選手が着いてきたのは初めてではなかったか。
ゴール後に抱き合う3人がすがすがしく、久しぶりにトラックレースで感動を味わった。1996年の日本選手権同種目での、鈴木博美さんと千葉真子さんのデッドヒート以来か。

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