2008年11月15日土曜日

レースの前日にコンパ?

陸上部の学生が12月の土曜日に卒業生の追い出しコンパを兼ねた忘年会をやるとのことで僕の都合を問い合わせてきた。空いている、と一応返事はしたが、釈然としない。
翌日は部員の多くが出場するクロスカントリーレースがある。ちなみに僕自身も別のハーフマラソンにエントリーしている。
普通なら、そんな試合の前日にコンパをわざわざ組むか?
優先順位を誤っているとしかいいようがない。


とキャンプテンに書き送ったら、さすがに対応が早く、日程変更するらしい。
たかが飲み会の日程に対してちょっと強権発動に過ぎたかとも思うが、「陸上部の試合なんてその程度のもの」とあやまったメッセージを部員に伝えることにならず、よかったと思う。
悪しき伝統となるところだった。

明日は最後となる東京国際女子マラソンの医務員をしに国立競技場に行く。今年も救護車に乗ってコース上に出させてもらえるかな?

2008年11月14日金曜日

マナー違反自転車にご注意を申し上げる

外来が終わって、夕方暗くなってから病院近くの公園を走る。1周1km弱の「トリムコース」があって、街灯もあり、まあまあ走りやすい。このトリムコースには「自転車の乗り入れは禁止」と立て札が何箇所も立っているにもかかわらず、平気な顔をして乗り入れている輩がたくさんいる。しかも多くが無灯火である。こういう自転車には「ここは乗り入れ禁止ですよ」と走りながら言うことにしている。
残念ながら、すれ違いながら叫んでもあっという間に遠ざかってしまうので無駄だから、追い抜きながら振り返って、はっきり聞こえるように教えてやる。
今日も高校生風1人と30歳前後の女性1人に、教えてあげた。
夜の無灯火自転車と、狭い歩道走行自転車と、逆走(右側)自転車と、ランナーの敵となる違反自転車は数多い。いちいち注意するのも、もう疲れてきた。

2008年11月13日木曜日

「医者のモラルの問題」二階大臣の問題発言

二階俊博経済産業大臣の発言を映像でも見られるようになったので紹介しよう。
文字にするとこんな感じ。
<病院同士の主張が食い違う今回の問題。舛添大臣はコミュニケーションがうまくいかない現状を、IT技術を駆使して解決できないかと、二階経済産業大臣と急遽、会談しました>。
緊急搬送システムの構築など、別にIT技術など新開発しなくても既存の技術でどうにでもなると思うのだが。経済産業省に協力を求めるというのも大げさで、厚労省だけで頑張れば十分な話である。
どこのNICUが空いていて、どこの産科病棟が満床であるかをリアルタイムで標示するだけならば、その作業に関わる人的要員を確保するだけで可能である。東京都の問題は、このシステムがインターネットシステムとは別のシステムになっているところであって、この目的にしか使えない専用のコンピュータなど、ついいじらなくなるし日陰者の場所に追いやられる。
それよりも「現在当直医は手術中で手が離せない」とか「明朝品胎(三つ子)の分娩を控え、NICUは空床を確保しておかなければいけない」などの各病院の事情まではシステムではわからないわけであり、結局は電話のやりとりが必要になってしまう。
さて問題なのは終盤の二階俊博経産相談のこのセリフだ。
<「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」>
「たらいまわし」だの「8病院が拒否」などというマスコミの言葉遣いからして、このような搬送先確保困難問題を「医者のモラルの問題」と思わされている一般の人が多いのではないかと危惧していたが、国務大臣までがこんなことを言うとは。
実際に発言している映像を見ると、傲慢な態度に強く嫌悪感を感じる。
「忙しく、人が足りない」現状をカバーしようと限界ぎりぎりまで現場で奮闘する医師の努力を無視する発言であるのは間違いないが、「医師を愚弄している」というよりもこの人は単に実情を知らないだけではないかと思う。要するに新聞と週刊誌程度しか見ていない、勉強不足。それはそれで国務大臣としての資格を疑う。
もっといただけないのはこの発言をなにも問題視していないマスコミと野党。産科医の団体は二階大臣に抗議文を出すなどの動きを見せているが、今のところそれだけ。

ただし、産科医に「モラルの問題」と突きつけられると、考えるところは多少ある。すなわち我々産科医自身も現在の母体搬送システムが「使えない」、「救急事態には役に立たない」とわかっていたにも関わらず、手を拱いてシステム構築をすすめていこうとする努力を怠っていたことだ。私のいる埼玉県ではこのシステムの必要性は叫ばれていながら、全く存在していない。東京よりもっとひどいわけである。そのための予算もついていながら、システム構築に向けて動き出したという話はついぞ聞かない。これを不作為のモラルの問題と言われればそうかもしれない。
もう一つ。「産科満床」「当直医分娩介助中」などであっても、本当の母子の生命に関わる緊急事態であれば、院内の他科のベッドを一時的に借りるとか、自宅オンコール(待機中)の医師を呼び出すなどの「無理をすれば」なんとか当該の重大救急患者だけは受け入れて対応できないことはない、というのが事実であることだ。
だからこそ「脳出血と言った」「言わない」とか「切迫した事態と伝えた」「伝わらなかった」というのが問題となるわけで、あれは切迫度が伝わっていれば、人員的な無理をしてでも受け入れ可能だったということなのである。
だから医師同士の情報伝達が的確であって、受け入れ側が、一時的にはキツイがウチがなんとかしなければ死んでしまうかも、という危機感を共有できれば、結果は違ったのかもしれない。
これを「切迫早産の母体搬送」とか「子宮内胎児発育遅延の母体搬送」などの切迫度のやや落ちる事態と一緒に論じてしまってはややこしくなる。
ただし、「一時的な無理」は時々だから可能なわけであって、慢性的に「無理」をしているところにさらにゴムを引き伸ばせば、ゴムは切れてしまう。そうしないために現在、産科医側も厚生労働省も一緒になって議論をしているところであるのだから、その実情を全く無視した今回の二階発言を擁護することは全くできないのである。

2008年11月9日日曜日

猛犬の飼い主にカーチェイスされた


夕方、河川敷の未舗装路を快調に走っていたら、橋の下をくぐったところで突然大型犬がいた。なんと飼い主は引き綱から手を離している。あっと思う間もなくこの黒い大型犬がまっすぐ僕を目掛けて突進してきた。
暴走車が突然現れてこっちへ向かってきてどうやっても避けられない!と判断したときの恐怖、とでも言えばいいだろうか。向きを変えて逃げるわけにもいかず、咄嗟に猛犬に対して背を向けるのが精一杯だった。
猛犬は僕の両脚に体当たり。ラグビーで小柄なバックスが見事にタックルされたときのように、完全に僕の体は宙を舞った。で、腰から着地。右の手のひらと肘でも着地したらしく、ずきずきと痛む。引き綱を離していた中高年の女性はしきりに謝ったが、こちらは噛まれなかったことにはホッとしたものの、強烈な恐怖体験と痛みで、許したり笑顔を見せたりするところではない。なるべく上品に「憤慨している」旨を伝えて、走り去ろうとした。
が、ふと「このまま済ませるわけにはいかない」という静かな怒りがふつふつと沸き起こり、現場に戻って「犯犬」と女性、および連れの男性ともう1匹の犬が乗ってきたと思われる車のナンバープレートを携帯カメラで撮影し、ついでに「犯犬」と飼い主たち、というタイトルの写真も撮影しておいた。それが掲載の写真である(黒いのが犯犬)。腕がじんじん痺れるので、あとあと骨ヒビでも見つかったら連絡をとらせていただくのに使える。
この、写真モデルに選出されたのが、連れの初老男性の気に障ったらしい。
なんだか後方で怒鳴っている気配はあったが、イヤホンとドリカムで耳が塞がっていることにして、ただちに踵を返してそのまま元のペース(キロ4分30秒くらいだったかな)で走り続けた。
と、予想通りこの男性、くたびれたワゴン車で堤防上未舗装路を追っかけてきた。
ちょうど一般路への分かれ道で追いついてきたので、僕はいったんそのまま堤防道路方向へ向かい、ワゴンが分岐をこちら側に来たのを確認してすぐ道をはずれて堤防から下りて工事中の一般路方向へ逃げてみた。
ワゴンはいったんまかれてくれたが、その先を右折してまたもや僕の方へ向かってくる。工事中を示すための鎖が道にかかっていたからそこで止まるかと思いきや、鎖が緩くて地面に垂れていたせいか、がちゃがちゃ結構な音をさせながら車で強引に突破してきた。
あーあ、猛犬が正面から襲ってくる恐怖を味わわされたあとは、今度は後方からワゴン車が迫ってくるスリルまで体験する羽目になるとは。そもそも疚しいことがなければ、しゃかりきになって青筋たてて追ってくる必要もなかろう。あー、なるほど、やっぱり自分の猛犬が人を襲ったことをまずいと思ってるんだ、とこっちは多少の余裕がある。
浄水場の横手の人気の少ない道で追いつかれたので、車から降りてきた男性をよく見るとやっぱりかんかんに怒っている。「勝手に写真をとるのは、なんとか違反だ」とか叫んでいるが、怒りすぎて呂律が回っていない。でも車から降りてくれたらこっちのもので、また走り出せば、相手は走れないからまた車で追ってくる。
ワゴンが通れるかどうかの細い農道に導いて、どうかなと思っていたら、もう見境なくなっているらしく、突っ込んできたので、ラッキーとばかりに車の到着を待ってUターンしてサヨナラした。バックするにも入り込みすぎているし、先まで行ったら見失ってくれるだろう。
敵もさすがにそのあたりであきらめたらしく、一応警戒しながら残りの距離を走ったが、再発見されることはなかった。
藤原智美著「暴走老人」という本を思い出したが、この男性もかなり血圧が上がって体に悪かったろう。事故なく帰ってくれたことを祈る。
ただ、今回はこれで済んだからよかったが、もちろん犬に噛まれて重傷を負った可能性もあれば、暴走老人に轢き殺されたかもしれないし、アメリカなら撃たれたかもしれない。
ま、せめてしばらくは事件個所を練習で通るのはやめておこう。今度は犬に人を噛むように仕込んでいるかもしれないからね。

2008年11月8日土曜日

またも未受診妊婦

どこにも受診したことのない妊婦が仕事場で分娩をしたというので救急隊が臍の緒でつながった赤ちゃんごと搬送してきた。今度は幸い早産ではなかったようで、赤ちゃんは3000g前後あり、元気だ。
こういう妊婦の共通点は、こちらが手を尽くして搬送しても、分娩の面倒を見ても、決して「ごめんなさい」とか「すみみませんでした」とか「ありがとうございました」と言わないこと。まるで自分が被害者であるかのように泣きじゃくったり、痛い痛いとだだをこねている。
実はこの人たちは自分が社会的に指弾されるべきことをしたと十分わかっているに違いない。医療者とコミュニケーションを始めてしまえば、当然「どうして病院行かなかったの」と叱られることを知っている。だから自分が子供になったかのように泣き叫ぶことで対話を拒否していると推測する。
当然ながら医療者側もこうした妊婦に対して温かい気持ちが持てるはずもない。こういうお産に喜びを感じられるN大くんは特別に人間の器が大きいのだろう。せめて分娩費用をきちんと払っていってくれることを願うのみであるが、費用徴収に我々が直接関与することはなく、あとは医務課とソーシャルワーカーさんのお仕事である。
せめて夜中でなくて日中でよかった。
ちなみに赤ちゃんは仕事場で生まれたが、胎盤は搬送されてきた後分娩室で娩出されたので、分娩費用は請求できるのだ。これも「でかした」ことの一つである。

2008年11月7日金曜日

東京マラソン抽選結果は・・・

2年連続「落選」でした。
さすがに7倍以上の倍率を突破することはできませんでした。
陸連登録者でかつ2時間台の記録を持っていたら多少は倍率が甘くなるか、と期待しましたが、ダメだったようです。
当日は、おとなしく医務員をします。
これで今シーズンの本気マラソンは2月1日の別大だけになります。

2008年11月6日木曜日

喉が痛くて不調

毎週金曜日に外勤に行くたびに喉を痛める。暖房のせいで空気が乾燥しているうえに、一日中外来でしゃべりっぱなしであるからに相違ない。
喉は僕のウィークポイントで、当直室や外来に加湿器を入れてくれるよう毎冬頼むのだが、今年はついこの間まで暖かかったので油断していた。
さっそくのど飴を2種類買ってきて(はちみつきんかんとVC3000レモン味)、とっかえひっかえ舐めている。
以前、奥武蔵ウルトラマラソン会場で販売していた小野木淳先生の「あぶないランナー」という小冊子の中に、喉の違和感に対して「ニンニクハチミツ」を強烈推薦してあって、自作してみたことがあった。ハチミツ500Cccにニンニク一株の半分くらいをスライスして入れる。2週間もすればハチミツは粘度が低下してサラサラとなり、ニンニクを取り出して出来上がる。
さほどのニンニク臭はなく、毎日でも問題なく使えるが、なにしろ喉のコンディション維持以外に用途がないので大量に余ってしまう。
一冬の間、確かに喉からくる風邪の防止に役立ったが、翌年からはつくるのが面倒なので続けていなかった。
今年はいきなり先制パンチをくらってしまったので、このニンニクハチミツを久しぶりにつくってみるか・・・。

2008年11月4日火曜日

全日本大学駅伝〜駒澤の安定と早稲田1年生の健闘

この駅伝の区間距離は1区から7区が9.5kmから14kmの間、最終区のみ19.7kmである。これくらいの区間距離と区間数が大学生長距離ランナーにはちょうどいいのではないか。こうなると大ブレーキのようなドラマはあまりない反面、各校が比較的安定した力を発揮できる。
つまりほとんどの区間が20kmを越えている箱根駅伝は距離が長すぎるのではないかと思う。距離を意識するから練習量が過大になるし、体調不良の影響がダイレクトに出て大ブレーキがおこるし、10区間ともなると体調不良のエースも出さざるをえないし・・・というわけだ。もちろん箱根駅伝は、正月に、しかも都心から箱根山に行って帰ってくるという、神事に近い行事であるので、大会としては価値あるモノだが、現在と同様、あくまでも関東大会にとどめ、もっと全日本に価値を見いだすべきではないか。これはマスコミの報道姿勢にも大きく左右されることなので、ぜひ一考を求めたい。
で、今回の全日本だが、1年生に有力選手が4人も加入した早稲田に注目していたが、そのうち3人が出場し、皆それなりの走りで10km以上の距離にも対応してきている様子がうかがえた。世界ジュニアに一緒に行った三田君もラストで先頭に立つ「おいしいところ」を持っていって、おめでとう、である。終盤2区間で知名度で劣る駒澤にどれくらい離されるかと心配したが、たった40秒そこそこで粘ったのも立派。箱根駅伝ではもっとこの差を詰めてくるではないだろうか(と、こういう風に本番は箱根だよ、みたいな意識が我々見る側にもあるのが問題かも。そもそも全国大会の後に、関東大会が来るという順番も不自然だなあ)。
世界ジュニアに一緒に行った東洋大学の1年、柏原君もいつもながらの積極的な好走だった。先頭を譲らず、竹澤君にもほとんど詰められず、見事なものだった。東洋大学は坂戸から5km程度のところにグラウンドと合宿所があり、ときどき休日jogなどをしている選手をこの付近でも見かけるから、城西大学の次に「地元」として応援したくなる大学だ。監督の川嶋さんも毛呂山町出身だし市民ランナーのイベントに出てきてくれるし、この前の毛呂山鎌北湖マラソンでもお会いしたばかりだし、親近感がある。
早稲田、東洋とも頑張ったが、最後はやっぱり安定感と地力の差で駒澤が優勝をさらった。出身高校などを見ても比較的地味なのに、つまり区間新を出すような大エースがいないのに、立派なものだと思う。
ところで、この駅伝は外国人留学生は2区間(2人)OKなんだね。高校駅伝は7人中1人で最長区間ダメ、実業団駅伝が8人中1人で指定区間のみ、となっているのに対して、一番寛容なルールではないか?それでも3位以内に留学生採用大学が入ってこなかったのだから、これでいいのかもしれない。あまり留学生を閉め出す方向に行くのも、ワンジルのような人材が日本にいにくくなってしまうので日本人ランナーにとっても損失のような気がする。
箱根駅伝はどうだっけ。10区間あるのだから2人認めてもいいかなと思うが、なにしろ「神事」だからもっと厳しくせねばならないのかもしれない。

2008年11月2日日曜日

関八州見晴台トレイルラン




今朝は5時に起きて、始発の越生線で越生まで行ってトレイル。先週行われていた「武蔵越生ハイキング」のコースを前半(戸神まで)はなぞるように、越生駅(6:15)〜大高取山(6:50)〜麦原入口バス停〜戸神集落〜羽賀山〜野末張展望台(8:00)「写真1」〜飯盛峠〜関八州見晴台(8:35)「写真2」〜花立松ノ峠〜傘杉峠〜顔振峠(9:10)〜諏訪神社〜「写真3」〜一本杉分岐〜獅子ヶ滝〜阿諏訪〜東毛呂駅(10:05)、というコース。
棒ノ嶺ピークハントマラソン、毛呂山鎌北湖マラソン、と登りの強烈な2レースで体が慣れたのか、今日のコース上の登りはほとんど歩かず、走って登れた。我ながらいい調子。本当は富士登山競走の前などはこういうトレーニングをしておかなきゃならないんだね。
戸神から羽賀山への登山口がわからず、だいぶ右往左往してロスタイム。「大人の遠足BOOK」の地図は間違っていたぞ。野性の勘で登山口を探り当てた。このあたりだいぶトレイルに慣れてきた。
今日のハイライトはやはり関八州見晴台。天気もよく、朝の澄み切った空気の向こうに、ホントに東西南北、関東平野を囲む山々が見渡せた。グリーンラインのロードの練習ばかりで一度もここまで上がってこなかったことを後悔した。車で高山不動のところまで来れば、15分程度の徒歩で来られるから、登山はちょっと、という人にもおすすめ。
顔振峠から一本杉までの諏訪神社参道を含む行程が、いちばん「走れるトレイル」。写真で雰囲気がわかるだろうか。快調になだらかな下りを駆け抜けることができた。朝早いので、ほとんどハイカーにも会わずじまい。
4時間近く奥武蔵の山を堪能して、10時半には自宅に帰り着けるのだから、トレイルランに関しては実に恵まれている。

2008年11月1日土曜日

未受診妊婦の飛び込み分娩

大学病院ではもう慣れたが(1〜2ヶ月に1人はいる)、昨日は外勤先の個人病院に約8kmを走って着くや否や、未受診妊婦がおいでになったから驚いた。しかも26週、子宮口は全開大、2経産婦。ただちに市立病院に連絡をして了解を得て、救急車を呼んで、ちょうど金曜日なので居合わせた小児科の先生も(車中分娩に備えて)一緒に、救急車に飛び乗った。
本人は急な事態に動転したかびーびー泣いているし、手ぬぐいタオルを頭に巻いた系の夫もろくに説明もされずに不満そうな顔をしているが、かまっていられない。
本気で車中分娩も覚悟したが、案外「まだ産んではいけない」とわかれば人間は分娩も我慢できるのか、15分の救急車道中は陣痛のたびに顔をしかめてはいたが、なんとか市立病院の分娩室に運び込めた。
たいてい母体搬送を送っていく場合は、「当方の力が不十分で管理しきれずこんな夜中にすみません」とか「もうちょっと早い週数でご相談すればこんな緊急事態にならなかったかもしれずすみません」とか、なにがしかの負い目を感じて目を伏せながら送っていくものだ。家族にも気をつかってぺこぺこしたりすることもある。
が、今回はまさに降って湧いた事態で、こっちの管理の不手際もなにもない。堂々と「いやー間に合ってよかったです」とすっかりリラックスして、引継に出てきた女医さんに引き渡した。もちろん手ぬぐい旦那を待つこともしない。さっさと救急車に引き返して、病院に帰ってきた。
よかったとはいっても、病院に戻ったら外来の待ち人数が30人近くにもなり、大混雑状態。これだけの患者さんに迷惑をかけたのだから、飛び込み妊婦の罪は大きい。結局午前の部は午後2時までかかり、おなかのすいた僕ももちろん不機嫌である。

で、たまたま当直室で夜見ていたNHKでもN大病院の産婦人科医の当直一晩ルポの中にも、おー出てきました、飛び込み分娩。18歳の妊婦が陣痛が来て救急車要請。主人公の産婦人科医が、小児科、麻酔科に了解を得て(だいたい週数も胎児の生死も手術の必要性もわからないのに本当に了解を得る必要があるか?受けるしかないだろ)、このあたり墨東の事故を意識した演出くさかったが、結局運び込まれてきて、翌朝無事に分娩。なんとこの飛び込み18歳は顔出し映像。人権感覚に敏感なNHKがこれには驚いた。非難殺到しちゃうよ。
主人公のN大くんも「赤ちゃんが無事に生まれて一緒に喜び合えるのが産科医の一番の幸せ」みたいなこと言っちゃって、非常識飛び込み分娩が一番困るんです、となぜ言わない。「僕はいつでも搬送を受けたいんですけど、他科の都合でダメなときは悔しい気持ちでいっぱいです」みたいなセリフも、自分だけいい格好かよ、と目をむいてしまった。
でも、テレビというのは都合のいいところだけ編集して放映するから、このN大くんもホントはズバズバいいこと直言していたのかもしれないけどね。
ついでに、連続34時間勤務の後もN大くんは外勤当直ににこにこと出かけていったが、ああいうのをあたかも全員の産婦人科医の日常のようにうつすから、誤解を生んで、ますます若手が産婦人科に来なくなるんじゃないのかな。マスコミに「産婦人科医の過酷な勤務実態」がとりあげられるのも善し悪しだな。
ちなみの僕の勤務は、午後の外来も8時までかかって、それから1〜2時間おきに分娩が3件?4件?(わからなくなった)。さらに破水入院、陣発入院と、起こされまくった。インターバルトレーニングのような睡眠で、十分鍛えられました。でも昨日はあくまで特別ですよ。