2009年4月28日火曜日
「冬の喝采」〜懐かしい記憶を呼び起こされた
武蔵ウルトラマラソンクラブの会報で絶賛されていた「冬の喝采」を読んだ。陸上関係者、特に早稲田大学関係者や箱根駅伝ファンには知られていたようだが、僕は紹介されるまでこの本の存在を知らなかった。
このノンフィクションに近い小説、瀬古選手の現役当時を知っている世代にとっては、たまらなく懐かしいし興味深い。
当時の早大競走部は全員スポーツ刈りで居ずまい正しく、カリスマ中村清監督のもと修行僧たちのように長距離走に打ち込んでいるという、かなり極端化されたイメージだった。しかし彼らも大学生、監督に反発したり悪ふざけをしたりしながら、しかし箱根駅伝に対しては確かに純粋に取り組んでいる様子が新鮮である。
またこの本の魅力は陸上競技に関するディテールにある。一人一人の記録や戦績、出身校などは言うに及ばず、「マラップ」や「サテンのランニングパンツ」など、私が中学で陸上を始めた頃のアシックスのカタログを思い出させる名詞にぐっとくる。
また著者(金山選手)が故障と背中合わせでレースを断念したり、かろうじて出場できたり、その気持ちの浮き沈みに自然と共感・同化して、一緒にせつなさを味わえるのも魅力。
最後には、うーんやっぱり長距離も努力より素質?と自分にひき比べて少々落胆するところもあるが、読後感は充実している。
私の手元にあるベースボール・マガジン社刊(クリール)の「マラソントレーニング―世界を制した日本の名ランナーが明かすマラソン練習法」に、瀬古さんが箱根の2区から3区へタスキを渡そうとするカラー写真があるが、ひょっとしてこの3区の後ろ姿は著者(金山選手)?
誰か答えがわかったら教えてください。
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