昨年11月に発売された低用量ピル(OC)「ヤーズ®」は、①(多くの副作用の原因となる)エチニルエストラジオールの含有量が20マイクログラムと従来のOCに比べて2/3程度になっている、②ドロスピレノンというプロゲスチンが軽度の利尿作用を有する、という2つの特長がある。それにより、気持ち悪さ、体の重い感じ、むくみ、体重増加、といった副作用が軽減され、特に
女性アスリートには適しているのではないかと考え、この1年間、国立スポーツ科学センター(JISS)クリニックや大学病院などで、アスリートを含む10人以上の患者に処方してきた。
確かにそういう副作用が少ないという利点は明らかである。これまでアスリートに採用してきたマーベロン®と比較しても明らかに「服用しやすい」OCであるという印象。マーベロン®も優れたOCだったが、それでも気持ち悪さを訴える患者はあった。それがヤーズ®に切り替えるとそのような症状から解放されたという。
また特に長距離ランナーは(体重が軽いせいか)そのような副作用を強く訴える傾向にあるため、よほどのことがない限り、(ホルモン補充療法は行っても)OCの処方は行わないという方針でいた。しかしヤーズ®を月経前症候群の実業団選手、重度の骨粗鬆症を有する実業団選手に内服してもらったが、ほとんど副作用を訴えることがなかった。これは「使える!」という印象である。今後は長距離ランナーの月経時期調節にも応用していけそうである。
ただしヤーズ®にも欠点がある。それは不正出血の頻度がやや高いことである。特に飲み始めの数周期、なるべく決まった時間に定期的に内服しないと、少量ではあるが出血が起こりやすいようだ。ただアスリートにとって練習、試合でのパフォーマンスに影響が出るほどの出血量ではないので、そのまま服用を続けてもらううちに徐々に出血は少なくなることがほとんどである。
1 件のコメント:
初めまして。ヤーズと同系統の薬剤にルナベル(日本新薬)がありますが、こちらは効果や副作用などはいかがなんでしょうか?
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