2013年2月8日金曜日

出産が女性トップランナーに与える影響


先日の大阪国際女子マラソンで、37歳の小崎まり選手が2時間26分41秒の好タイムで日本人3番手となる4位でフィニッシュした。
小崎選手は一昨年の7月に長男を出産。産褥1年6ヶ月ということになる。
報道によれば、本格的な練習を始めたのはレースの約1ヶ月前。育児や家事で練習量は以前の3分の1に減っており、走り込みはできたが、スピード練習がきちんとできないままの出走だったようだ。それでこのタイムなのだから恐れ入る。
もともとマラソンに関しては「はずさない」選手だったので、マラソンという種目が「手の内に入っていたから」とも言えるだろう。
ただ、本人が、出産後にどのような体の変化を自覚しているのか、出産後のトレーニングの工夫点はどのようなものだったのかには、私も興味がある。

一般的には、特に出産を経たからといって女性の運動能力が大きく変化することは考えられない。少なくとも(加齢変化以上に)低下することはない。
もちろん一時的には、体脂肪がついたり、脚筋力が落ちたり、(授乳の影響で)骨塩量が減少したり、(帝王切開の場合は)創部が痛んだり、(経膣分娩の場合は)骨盤や恥骨が痛んだり、ということはある。しかし、出産から1年程度経過すればほぼそれらの影響はなくなってくるのが普通である。
むしろアスリートにとっては、ブランクによるロスよりも(強制的な)休養期間が生じることにより勤続疲労から回復するというメリットが出ている可能性さえある。
ちなみに、世界記録保持者のポーラ・ラドクリフ選手が出産後の復帰に苦労し、故障がちとなっている理由は、早期の復帰を目指すあまり、授乳による骨塩溶出によるとされる骨密度減少時期に激しいトレーニングを再開したこと、また妊娠中も後期までビルドアップ、傾斜トレッドミルなどの高負荷のトレーニングを行ったことで、「休養によるメリット」もほとんど享受できなかったことにあると個人的には思っている。
日本では赤羽有紀子選手がママさんトップランナーとして活躍しているが、やはり出産後の1年は全く思い通りには走れなかったという。
今後はセカンド・ウインドACの嶋原清子選手が出産からの復帰を目指しているようなので、注目したい。

0 件のコメント: