2008年1月12日土曜日

激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎 (小学館ミステリー21)


自宅から徒歩4〜5分のところに坂戸市の図書館がある。そこでふと目にとまって借りてきたのがこの本だ。要するに、福岡国際マラソンを舞台にしたミステリーだが、あまり期待しないで読んだところが案外面白くて後半は一気に読んでしまった。
発刊が確か2005年だから、舞台になっている2007年の福岡国際マラソンは2年先の近未来ということか。
ランナーの目から見ると、1キロ3分ペースからいきなり中間点で2分46秒ペースに上げるのは無茶だろ、とか、フルの途中でそんな全力でスパートすることはありえないだろ、とか、2時間20分台の選手や「無名の大学生」がいきなり2時間6分はないだろ、とか、高校の陸上部はいくらなんでもそんな陰湿なところじゃあないだろ、とか、白バイの警官が救護活動をしてどうする、救護車がいるはずだろ、とか、いろいろ言いたくなることはあった。たぶんこの著者は(本格的に)フルマラソンを走ったことはないのではないか。ただその割には、そもそもマラソンレースをミステリーの舞台にするという難事業(普通の感覚ではかなりミスマッチ)に挑戦してくれたり、なるべくディテールを書き込んで臨場感を出そうとしてくれたり、かなり努力の痕が見える。少なくとも、普段テレビでだけフルマラソンに接している人にとっては全く違和感はないのでは。
僕自身、福岡国際マラソンが「市民化」で出場制限が2時間50分に緩和された年にこのコースを走っている。後半の強い向かい風と言う悪コンディションに耐えて2時間52分台でギリギリ完走を果たした!15km地点がどんなところか、25km地点がどこか、記憶が鮮明なので、その分楽しめた。
なるほどと考えさせられた箇所が1ヶ所。スペシャルドリンクに毒物や生物が混ぜられる可能性について。悪意ある者がこれを企めば確かにひょっとするとありえないこともない。レース前のスペシャル預かり場はけっこうルーズで他の選手のドリンクに手を触れることだってできそうだし、運搬中や陳列中だって手を加えるのは不可能ではない。毒でなくともドーピング禁止物質を混ぜれば、相当なダメージを与えることだってできる。陸連医事委員としては看過できない問題提起だった。
ミステリーとしてもラスト100mで訪れる衝撃の結末に思わず唸らされたので、上々の出来である。
もういちど福岡の出場制限が2時間50分に緩和されてあのコースを走れることになったらいいのに、と思う。

***「もう一つの箱根駅伝」見逃した!録画も忘れてた。
***明日は県南駅伝(朝霞)に出場予定(5.5km)。会場は坂戸から約30km。行きか帰りかどちらか走るつもり。

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