2008年2月10日日曜日

別大マラソン〜レース中盤以降



15km以降は別大国道を別府方面に向かうわけだが、ここの道路は左側に大きく傾いていて走りにくい。接地脚がアンバランスになってしまう。しかも徐々に向かい風が気になってくるし、集団は少しずつ離合集散を繰り返して、風を受けなければいけない場面も出てくる。15kmまでが19分42秒、20kmまでは19分56秒、別府市内に入って25kmまでは20分02秒と徐々にラップが悪くなるのは主に向かい風の強まりのせいだと思う。
22km付近で不忍池AC所属で僕より実力は上のS長さんを追い抜く。急に追いついてしまったところを見るとS長さんは相当にペースダウンをしていたようだ。中間点は1時間23分08秒。関門締め切りまで「あと1分!」と係員が叫んでおり、油断をしてはいけないと気をひきしめる。
25kmすぎに折り返すと追い風になり、待ちかねたように周囲のランナーもペースアップした。折り返してあっという間に最後尾車が折り返し一般車が続く。あらためて関門通過ぎりぎりペースでくぐり抜けていることを自覚した。
そこで、無理してはいけないと思いつつ、このペースアップに遅れてはならないと少々脚を使ってついていく。27kmの別府タワーの近くで、事前予告通り、11月の別府での臨床スポーツ医学会でお世話になったM先生を沿道に見つけ、振り向きざまに声をかける。どうも向こうからは僕に気づいていなかったらしく、驚いたような顔が印象的だった。M先生に挨拶できたことで、なんだか急に晴れやかな気持ちになり、ふと気づくと先ほどまで必死について行っていた集団を自分がリードしている。しかも相当に余裕がある。
30km手前では、大学時代によく知っている一橋大出身の確か1年後輩にあたるW君を抜き去った。彼にもひところ全く歯が立たなかったから、ますます自分の好調を自覚する。30kmまでの5kmが19分32秒とペースアップ。このあたりでいちど右大腿裏にピクッと軽い痙攣が走り、あえてペースを落として集団が追いついてくるのを待っていったん脚を休ませた。
再び海沿いの別大国道に入ったが、追い風に押されて、速度を上げすぎないように注意しつつ、幸い痙攣の再発もないので、いよいよ思い切って単独走に切り替えて、次から次へと追い抜き始めた。このあたりの10kmは本当に楽だったしスピード感もあったし、記録に対する期待も出てきたし、でとにかく楽しかった。だんだんと追い抜くランナーのナンバーカードが400番から300番台へとランクアップし、時には100番台の選手も混じるようになってきた。35kmまでが19分44秒で、まだまだ20分を切るペースを維持できている。ここでほぼ完走を確信できた。
しかし残りあと5kmぐらいになってから、徐々に追い風が横風にかわったのか、苦しくなってきた。「4歩で1呼吸」から「3歩で1呼吸」に切り替えてなんとかリズムを維持、少々ペースは鈍ったものの追い抜き続けることができた。さすがに好調にとばした影響か脚にきている。中春日の交差点を斜め左に入ったあたりはもう限界近かったのに、40kmまでも19分54秒とまだ20分を切るペース。ただし時計を確かめる余裕はもうなかった。舞鶴橋の上りは止まりそうになるかというぐらいスピードダウンしたが、回りのランナーはもっとばてている。競技場も見え元気が出る。ところが舞鶴橋を渡り終えて左折すると、意地悪なほどの向かい風が襲ってきた。動かない脚に鞭打って進む。やっとの思いで競技場に着き、入り口のタイマーを見ると、まだ2時間45分を回ったばかり。これは46分台が出る!きつかったがラスト200mからラストスパートをかけ(もがいているようにしか見えなかったと思うが)力を全て絞り出してゴールインした。46分30秒台の時計を確かめて、思わずガッツポーズ。座り込んだり膝に手を当てたりする他のランナーをかき分けるように歩き回りながら、興奮を隠しきれなかった。2時間50分すぎの関門ぎりぎりで、大学陸上部の先輩が疲労困憊で競技場内に戻ってくるのに応援のハッパをかけた。帰り際には陸連医事委員長の山澤先生にもお見事と声をかけてもらった。まだまだ現役ランナーで頑張っているところを見せられてよかった。
ラスト2.195kmは8分54秒。ラスト1kmからの強烈な向かい風を考えればまあまあかもしれない。後で途中計時記録を見ると、僕の前後にゴールしたランナーで8分台はいないことからも、自分で思ったほどはラスト落ち込まなかったと言えると思う。
今回もカーボローディングがうまくいったのだろうし、もちろん脚作り自体がうまくいっていたのだろう。その結果、30km以降いちども脚の痙攣がなくペースダウンせずにすんだことにつながった。
もっとも前半が少々の向かい風、徐々に風速が増して後半が強烈な追い風という「神風」に恵まれた面もあるので、浮かれすぎないようにしなくては。ただ今回のレースで、19分台でずっと楽に押すという、新たなスピード次元に入れた気がする。
37歳。もうあと5年ぐらいは自己記録更新をめざしてあがいてみようと決めた。

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