2008年11月23日日曜日

金で釣られる産科医〜モラルハザードを引き起こさないか?

朝日新聞によれば、「さいたま市は21日、ハイリスクな妊婦の分娩(ぶんべん)や妊婦の救急搬送の治療にあたる同市立病院(緑区)の産科の勤務医に、来年1月から1件10万円の手当を支給する方針を明らかにした。地域の基幹病院として産科の勤務医を確保したい狙いがある。」とのことである。
10万円か。いくら何でも高すぎやしないか。
先週の埼玉県の産婦人科学会のときの情報によれば、さいたま市立病院は今年度いっぱいで退職者が複数出て、ついに6人(と言っていたかな?)の少数常勤医体制になってしまうらしい。大学医局からの補充の見込みは、まだないとのこと。
それでこんな高額の「エサ」を用意したと思われるが・・・。
実際はどう運用されるのであろう。搬送を受けるたびに当直医の頭には否が応でも「10万円」がちらつくだろう。「ハイリスクな分娩」の定義がはっきりしていないと、たいていの分娩にこの10万円をつけてしまいたくなりそうだ。
しかもこの10万円は個人ごとに支給されるか、産婦人科全体に支給されるかによっても、「奪い合い」が起きないか心配になる。「おまえは全然手伝ってないだろう!」とか「帝切の準備は俺がしたのに、執刀医のあんただけが10万円かよ」とか・・・。

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