コンパクトな大会で面白かった、というのが初めて世界クロカンを観戦した感想。
まるで田舎町に巡回してきたサーカスみたいである。
さびれかけた田舎のゴルフ場の何の変哲もない林道みたいなダートコースに仕切りをし、看板を立て、観客を動員し、曲芸飛行機を飛ばし、場内放送をがんがん鳴らして一場の夢をつくる・・・そんな感じだ。
わずか2時間の間に、ジュニア・シニアの男女の4レースをやってしまうのだから、見る方は間を持てあますことがない。
ジュニア女子ではまだアフリカ選手などは少女の面影で、仲間意識が強いのかチーム6人がつるんで同じ行動をしようとする。20分前にもうレースウェアになって、寒そうにみんなで並んでジョグをしたりその場で足踏みしたりしている。幼い。
日本ジュニア選手はその点競技者としては一日の長があるようだ。
1周目はスローペースで日本選手が先頭に立つ場面などもあったが、2周目からは温まったエチオピア・ケニア勢がぐんぐん駆け下り、引き離されてしまった。それでも第2グループで粘った選手が多かった結果、見事に団体3位を獲得することができた(写真)。ジュニア女子だけを送り込んできたロシアは、同宿のホテルでは冷血美人風でツンとしていて強いのかと思ったら、全然ダメだった。痛快。
ジュニア男子も最初はスローペース。果敢に先頭を引っ張る福士選手だったが(写真)、途中シューズが脱げるアクシデントがあり、残念ながら失速してしまった。エースの村澤君はさすが前半はしっかり外国勢と張り合えたが、後半は苦しかったようだ。アフリカ勢だけでなくアメリカ、オーストラリアなどの非黒人のトップクラスにも後塵を拝してしまう。
シニア女子は清水選手が一人20位以内をキープする好調な走りで外国勢と張り合い、応援のし甲斐があった。スパイクを選択しなかったのがよかったのかな。
シニア男子はやはりケニア、エチオピア、エリトリアが本気で臨んでくるから日本はなかなか歯が立たない。その次のグループにモロッコ、ウガンダ、カタールが来る。欧州勢がことごとく目立たない中、スペインだけはやたらと強かったのが印象的。クロスカントリーという言葉で想起される北欧諸国などは出場さえしていない。同一国から6人も出るだけに、トラック長距離種目以上にアフリカ選手が目立つわけである。
ビリの方は、シリア、エジプト、ヨルダン、アゼルバイジャンなどの近隣の選手が頑張って走っている。どの種目も競技レベルはトップからビリクラスまであまりに幅広く、日本選手同士の実力差が相対的に非常に小さいために、日本選手は中盤に固まってゴールしてくることになる。
気温は10℃ちょっとだっただろうか。丘を吹き下ろす風は冷たくて、ウインドブレーカーの上に着込んだコートを脱ぐことはできなかった。
日本の女子選手たちなどは手袋やアームウォーマーをしていたが、ちなみにそんな気の利いた小道具を身につけていたのは日本選手だけだった。外国選手はそんなもの持ってさえいないと思われる。
夜はアンマン一のメリディアンホテルの豪華なファイナル・バンケットで盛り上がった。おなかいっぱい。
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