2010年3月10日水曜日

びわ湖毎日マラソン〜優秀なペースメーカーに拍手

佐藤秀和選手(トヨタ紡織)ともう一人の日本人選手、さらに5人ほどの外国人選手が務めたペースメーカー陣がこの日の見物だった。
まず「いい加減な」外人ペースメーカーが競技場を出るところで周回を間違ったのに、日本人ペースメーカー二人は正しくコースをたどったところが象徴的だった。
おかげで佐藤秀和選手を中心に序盤から安定したペースがつくられ、トラック内でいい気分で引っ張りかけていた外人ペースメーカーは、さすがにコース間違いを反省して萎縮したのか、佐藤選手たちを追い越して前に出ることはせず、おとなしく集団の中段に控える。
日本人ペースメーカーはきっちり時計のように5km15分15秒ペースを守り、しかも外人が引っ張るときのように細かいスピードの上げ下げも全くなく、きわめて安定した前半戦をかたちづくっていた。
相棒日本人が15kmで早々にいなくなったのには少々驚いたが、普通なら「もういなくなるの?早すぎるよ」と思うところが、「おっいい仕事したな」とねぎらいたくなった。佐藤選手も20kmで退いたが、本当にgood job。
ここまで安定すると代わって先頭に立つ外国人ペースメーカーも無茶な上げ下げはできない。と思う間もなく、優勝候補のナンバーカード1のエチオピア選手がスローペースにしびれをきらしてペースメーカーたちにスピードアップを要求(言葉はもちろん聞き取れないが、仕草から明らかにそう判断)。
これに応えて、契約ペースを無視してガンガン「1」の選手を引っ張り始めてなんと30kmまで1時間30分台で連れて行ったのが、日本企業に所属する1人の外人選手。義に篤いというか、意気に感じたのか、「1」の選手に脅迫されたのかわからないが。本当は主催者側の用意したペースメーカーはあんな個人の要望に応える必要はないはずなんだけどな。あまりに軽々と引っ張っていたので、そのまま30km以降も「1」と勝負してほしかったくらい。
この日のペースメーカー陣の優秀だったのは、この「1」番の要求に乗らず、きちんと日本人選手たちの第2集団を引っ張ってくれたことだ。しかも疲労度にあわせて適当にペースダウンさせるという優しさを発揮して。おかげで、旭化成の佐藤君もNTNの北岡君もみんな35Kまで切れずに頑張れた。
ペースメーカーにはもちろん綿密な事前のペース設定の通達と、契約と、レース後の評価がある。最後まで走っていい賞金を獲得してもいい契約のこともあれば、ダメな契約もある。15Kでリタイアするか30Kまで行くかも事前に決まっている。その中で、いかに所定のペースを維持し、ただし気候条件や風や付いてくる選手の有無によって臨機応変に対処するか、ちゃあんと主催者が(テレビ局の担当者だったりもするが)査定をしてボーナス額がかわるわけだ。
この日のペースメーカーは、まず日本人選手たちには満額ボーナス、ただし30KMまで優勝候補と日本人集団療法の面倒を見た外人部隊にも相応のボーナスを支払ってよさそうだ。
そんなひねた見方をしてみた。

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